豆知識

フェイジョアの人工授粉で確実に実をつける方法|失敗しないコツと手順

アイキャッチフェイジョア人工授粉

フェイジョアは南米原産の常緑果樹で、甘い香りの実を毎年楽しみにしている方も多いでしょう。ですが、なかなか実がならない、収穫が増えない…と悩む声もよく聞きます。

その一番のカギが「人工授粉」です。フェイジョアは自然のままでは実付きが安定せず、人工授粉を行うことで初めて確実な収穫が望めることが多い植物です。

ここでは、なぜ人工授粉が必要なのか、いつ・どのように行えば良いのか、実際の作業手順や成功のコツまで、初心者にも分かりやすくまとめました。

フェイジョアが人工授粉を必要とする理由

フェイジョアは、自家結実性が弱く、同じ品種同士では花粉がうまく働かないことが多い果樹です。もともと南米原産で、日本の庭や鉢植え環境では自然受粉が難しい場合が多くなります。

特に単一品種で育てている場合や、周囲に別の品種がない場合は、ミツバチや虫による自然受粉だけでは実付きが安定しません。そのため、人工授粉を行うことで確実に花粉をめしべに届け、受粉率を高めることができます

また、2品種以上を近くに植えている場合でも、開花時期がずれたり天候が悪かったりすると受粉がうまくいかないこともあります。人工授粉なら自分のタイミングで確実に花粉を移せるので、失敗が少なくなり、収穫量が大きくアップします。

人工授粉に適した時期と花の見分け方

人工授粉のベストなタイミングは、花がしっかり開いた直後です。
フェイジョアの花は、6月から7月にかけて咲くことが多く、早朝や午前中に花粉が新鮮な状態になります。

花の見分け方と人工授粉の目安

  • 花びらが完全に開いている

  • 花粉がしっかり出ている(黄色くふわっとした状態)

  • めしべがまっすぐ立っている

このタイミングで人工授粉を行うと、受粉の成功率がぐっと高まります。

花は数日かけて次々に咲くため、数日に分けてこまめに人工授粉するのがおすすめです。また、花粉は午前中が最も新鮮なので、できるだけ午前中に作業を行いましょう。

必要な道具と人工授粉の基本手順

フェイジョアの人工授粉には、特別な機械や高価な器具は必要ありません。誰でも手軽に始められるのが大きな魅力です。

人工授粉に必要な道具

  • 柔らかめの筆(絵筆や化粧用ブラシなど)

  • 綿棒や小さなブラシでも代用可能

  • キッチンペーパーやハサミ(花粉の取り分け用に)

どれも100円ショップや家庭にあるもので揃います。

人工授粉の基本手順

  1. 花粉を集める
     開花直後の雄しべ(おしべ)から、筆や綿棒で花粉をそっとなでるように集めます。複数の品種があれば、異なる株の花粉を混ぜるのが理想的です。

  2. めしべにつける
     花粉を採取した筆や綿棒で、別の花の雌しべ(めしべ)の先端を軽くなでます。花粉がしっかり付着すればOKです。

  3. できるだけ多くの花で繰り返す
     開花した花ごとに繰り返し、1つでも多くの花に人工授粉を行います。

人工授粉のコツは、花粉が新鮮な午前中に手早く行うことと、同じ花粉を何度も使わずに、できるだけ多くの花や株から集めた花粉を利用することです。

品種ごとの人工授粉のポイントと相性

フェイジョアは自家結実性が弱いものが多く、異なる品種同士での受粉が最も確実です。家庭栽培の場合も、2品種以上を近くに植えるのが基本となります。

よく使われるフェイジョアの品種例

  • アポロ

  • クーリッジ

  • ジェミニ

  • マモンティ

  • トライアンフ など

これらの品種は互いに受粉親として利用できるものが多いですが、花粉の出やすさや開花時期の微妙な違いによって相性もあります。

品種の相性を確認するポイント

  • 同時期に花が咲く品種を選ぶこと

  • 少なくとも2品種を5m以内の距離に植えること

  • 異なる品種から花粉を取り、交互に授粉するのがベスト

1品種しかない場合は近所や知り合いのフェイジョア花粉を譲ってもらうと、人工授粉の成功率が上がります。

よくある失敗と人工授粉で実を増やすコツ

人工授粉をしても思ったほど実がつかない、毎年うまくいかない……そんな声も珍しくありません。ここではよくある失敗例と、実を増やすためのポイントを解説します。

よくある失敗例

  • 花粉が古くて受粉しない
     前日の花粉や、湿気て固まった花粉では受粉率が下がります。必ず新鮮な花粉を午前中に集めて使いましょう。

  • 同じ株や品種だけで受粉した
     自家結実性が弱いため、同じ品種同士では実がつきにくい場合が多いです。異なる品種同士で人工授粉しましょう。

  • めしべが若すぎる/古すぎる
     開ききっていない花や、花粉が落ちきった花は受粉が難しいため、咲き始めて花粉がしっかり出ているタイミングを狙って作業してください。

  • 授粉が雑で花粉が付いていない
     筆や綿棒でやさしく、確実にめしべに花粉を移すことを意識しましょう。

実を増やすためのコツ

  • できるだけ多くの花に授粉する
     一つの花だけでなく、開花した花ごとにまんべんなく作業します。

  • 数日に分けて何度も授粉する
     一度で終わらせず、開花が続く間はこまめに人工授粉を続けることでチャンスが増えます。

気候と天候が人工授粉に与える影響

フェイジョアの人工授粉は、天候や気温にも大きく左右されます。特に雨の日や気温の低い日は、花粉が湿気てしまったり、虫の活動が鈍くなるため、受粉の成功率が下がります。

人工授粉を行う日は、できるだけ晴れていて湿度が高すぎない午前中を選び、開花期に急な雨が続く場合は、雨よけの傘やビニールシートで一時的に枝先を保護するのも有効です。

適度な気温と乾燥した空気がある日を選ぶだけで、受粉作業の効果がぐっと高まります。

人工授粉後の管理と実付きアップのポイント

人工授粉が終わったら、その後の管理も大切です。
せっかく受粉が成功しても、その後の環境が悪ければ実が大きく育たないこともあります。

管理のポイント

  • 適度な水やりと乾燥防止
     受粉後は極端な乾燥を避け、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。

  • 肥料のタイミング
     実が膨らみ始める時期に、リン酸やカリウムを含む果樹用肥料を少量追加すると実太りが良くなります。

  • 枝の込み合いを剪定
     実付き後は枝葉が混み合わないように軽く剪定して、風通しと日当たりを確保しましょう。

  • 台風や強風、害虫対策
     幼果の時期は実が落ちやすいので、風よけやネットで保護し、アブラムシなどの害虫も早めにチェックします。

このように、授粉後も日々観察とケアを続けることが、フェイジョアの豊作につながります。

フェイジョアの剪定と人工授粉

フェイジョアの実付きには、適切な剪定も欠かせません。枝が混み合っていると、花が内側に隠れてしまい、人工授粉の作業効率も低下します。

剪定の目的とタイミング

  • 風通しと日当たりの確保
     毎年冬から春先にかけて、内向きや込み合った枝、古くなった枝を切り戻しておくと、花が外側に付きやすくなります。

  • 花芽の更新と促進
     不要な枝を整理することで、元気な枝にしっかり花芽が付きやすくなり、人工授粉の際も花の位置が分かりやすくなります。

  • 管理作業の効率化
     剪定で枝ぶりを整理しておくと、筆や綿棒を使った人工授粉もスムーズです。高い枝や奥まった枝の花も見逃さずに済みます。

剪定は、フェイジョアの実付きアップ・人工授粉成功の土台作りと考えて、毎年必ず取り組みましょう。

受粉を助ける環境づくり

人工授粉をより確実にするには、「受粉しやすい環境」を整えることも大切です。

ポイント

  • 複数品種の近接植栽
     できれば2品種以上を5m以内に植えることで、自然受粉の確率も上がり、人工授粉時も異品種の花粉を簡単に使えます。

  • 害虫・病害対策
     花が咲く時期にアブラムシなどが多いと、花が傷みやすくなります。開花前からこまめにチェックし、被害があれば早めに対処しましょう。

  • 適度な水やりと追肥
     花芽や花粉の状態をよくするには、春から初夏にかけて乾燥させすぎないよう管理します。過度な肥料は避け、バランスよく与えることがポイントです。

  • 人工授粉に便利な作業スペース確保
     脚立や踏み台を準備して、すべての花に手が届くようにすると、満遍なく授粉作業ができます。

こうした環境づくりは、翌年以降の実付きや木全体の健康にもつながります。

フェイジョア栽培をもっと楽しむためのQ&A

Q. 人工授粉は毎年必要ですか?

A. フェイジョアは自家結実性が弱いため、毎年人工授粉を行うと実付きが安定します。特に1品種だけで育てている場合や、周囲に別品種がない場合は、人工授粉が確実です。2品種以上育てていても、自然受粉だけに頼らず人工授粉を併用すると収穫量がぐっと増えます。

Q. 花粉はどうやって保存したらいい?

A. 花粉はすぐに使うのが一番ですが、どうしても保存したい場合は、乾燥しないよう密閉容器に入れて冷蔵庫で一時保存が可能です。ただし、湿気や古い花粉は受粉率が落ちるため、なるべく新鮮なものを使いましょう。

Q. 1本植えでも実がつくことはある?

A. 一部の自家結実性が強い品種では1本でも実がつく場合がありますが、基本的には異品種の花粉が必要です。1本植えでも人工授粉で花粉をよく混ぜて交配させると実がつきやすくなります。

Q. 人工授粉が面倒な時はどうしたら?

A. どうしても人工授粉が難しい場合は、品種選びで「自家結実性が強い品種」を選ぶ、近隣にフェイジョアが植わっている環境を探す、などの工夫も有効です。

まとめ

フェイジョアは人工授粉を行うことで、誰でも確実に実付きや収穫量をアップさせることができます。花の咲く時期を見逃さず、筆や綿棒など身近な道具を使って、異なる品種の花粉をしっかりめしべにつける――この作業だけで、これまで実がならなかった方も収穫の楽しみを実感できるはずです。

人工授粉後の水やり・肥料・剪定・害虫対策もあわせて心がければ、実が太り、味わい深いフェイジョアを毎年たっぷり楽しめます。

毎年の花や実付きに悩んでいる方も、今年こそ人工授粉でフェイジョア栽培をレベルアップさせてみませんか?きっと収穫後の喜びや発見が広がります。