小さな白やピンクの花を次々と咲かせるバコパは、寄せ植えやハンギングで人気の植物です。実は、見た目の可愛らしさとは裏腹に、環境や手入れ次第で「増えすぎて収拾がつかない」「蒸れて枯れる」「木質化して見た目が悪くなる」などのトラブルが起こることも。
この記事では、そんなバコパを植える前に知っておきたい注意点や、後悔しない育て方をわかりやすく紹介します。
バコパはどんな植物?植えてはいけない理由とは

バコパ(学名:Sutera cordata)は、南アフリカ原産のゴマノハグサ科の多年草で、別名「ステラ」とも呼ばれます。小さな白やピンク、紫の花を次々と咲かせ、寄せ植えやハンギングバスケット、グランドカバーとして人気の高い植物です。
特に春から秋にかけての長い開花期間と、優しい花姿が魅力ですが、その一方で「植えてはいけない」「後悔した」といった声も少なくありません。
バコパを植えてはいけない理由
その理由のひとつは、バコパの繁殖力の強さにあります。匍匐(ほふく)性の茎をどんどん伸ばして広がるため、地植えにすると他の植物を覆い尽くしてしまうことがあります。バコパをグランドカバーとして植えた結果、思った以上に庭を占領してしまい、他の草花が枯れてしまうケースも見られます。
また、高温多湿に弱い性質も要注意です。バコパは乾燥には比較的強い一方で、湿気に弱く、梅雨の時期には蒸れによって根腐れを起こすことがあります。特に風通しの悪い場所では株が黒ずんで枯れ込むことがあり、定期的な切り戻しや株分けが欠かせません。
さらに、木質化による見た目の悪化も悩みのひとつです。成長とともに茎の下部が木のように硬くなり、花が付きにくくなることがあります。この状態を放置すると、花が咲かずに枯れ枝が目立つようになり、せっかくの可憐な印象が損なわれてしまいます。
このように、バコパは見た目の可愛らしさに反して、管理が難しい一面を持つ植物です。適した環境を整えられないと、増えすぎや蒸れ、木質化といったトラブルを招きやすいため、植える場所や管理方法を慎重に選ぶことが大切です。
次の章では、バコパを寄せ植えに使う際に気をつけたい「相性の良い植物・悪い植物」について詳しく解説します。
バコパをグランドカバーに使うのは危険?
バコパは匍匐(ほふく)性が強く、地面を這うように茎を伸ばすことから、グランドカバーとして利用されることがあります。見た目も可愛らしく、地面を花で覆いたいという目的には一見ぴったりに思えますが、実はこの使い方には注意が必要です。
まず大きな問題は、バコパの繁殖力の強さとコントロールの難しさです。バコパは節ごとに根を出しながら広がるため、放っておくと数ヶ月で想定外の範囲まで伸びてしまいます。グランドカバーとして地植えにした場合、他の草花の根元にまで侵入してしまい、結果的に他の植物が枯れることもあります。
さらに、蒸れやすさによるトラブルも見逃せません。地面を覆うほど密に生えるため、風通しが悪くなり、梅雨時期には根腐れやカビが発生するリスクが高まります。特に湿気の多い地域や日陰では、グランドカバーとして定着しにくく、夏を越せずに全滅してしまうケースもあります。
また、冬越しの難しさもポイントです。バコパは本来、暖かい気候を好む植物で、寒さにあたると地上部が枯れてしまうことがあります。寒冷地では、せっかく広がったグランドカバーが冬に全滅し、春にまた植え直す羽目になることもあります。
こうした理由から、バコパをグランドカバーとして地植えするのはおすすめできません。どうしても地面を覆いたい場合は、鉢植えやプランターを組み合わせ、「部分的に楽しむ」形が安全です。地面に直接植える場合でも、レンガや縁石で区切りを設けて広がりを制限するとよいでしょう。
次の章では、そんなバコパを健康に保ち、木質化や蒸れを防ぐための「育て方と切り戻しのコツ」について詳しく解説します。
バコパの育て方と切り戻しのコツ
バコパは一度植えると長く楽しめる多年草ですが、きれいな姿を保つには定期的な手入れと切り戻しが欠かせません。放置してしまうと、中央がスカスカになったり、茎が木質化して花がつかなくなったりすることがあります。ここでは、バコパの正しい育て方と切り戻しのポイントを紹介します。
バコパの基本的な育て方
バコパは日当たりと風通しのよい場所を好みます。特に春と秋は日光をよく浴びせることで、花つきがよくなります。ただし、真夏の強い日差しは葉焼けを起こすため、半日陰に移動させるのが安心です。
土壌は水はけのよい培養土を使用し、鉢植えの場合は底に軽石を敷くと根腐れを防げます。水やりは「土の表面が乾いたらたっぷり」が基本ですが、蒸れやすい時期は控えめにすることがポイントです。
肥料は春から秋にかけて緩効性肥料を月1回程度与えます。肥料を与えすぎると茎ばかりが伸びて花が少なくなるため注意しましょう。
切り戻しで木質化を防ぐ
バコパの茎は成長とともに下部が硬くなり、花が咲かなくなる「木質化」が起こります。これを防ぐために、花が一段落したタイミングで切り戻しを行うのが理想です。
具体的には、茎の半分程度を目安にハサミで切り詰めます。切り戻し後は新しい芽が出て株が若返り、再び花を咲かせてくれます。
また、梅雨前にも一度切り戻しを行うと、風通しがよくなり蒸れを防ぐ効果があります。古い葉や茎を取り除くことで病気のリスクも減り、見た目にもすっきりと整います。
木質化した株のリフレッシュ方法
すでに茎が木のように硬くなっている場合は、挿し芽で更新するのがおすすめです。元気な新芽を5cmほどカットし、清潔な土に挿して発根させることで、若い株を作り直すことができます。
このように、こまめな切り戻しと更新を心がけることで、バコパは長く元気に育てることが可能です。次の章では、寒さに弱いバコパを冬越しさせるコツと、増やし方のポイントについて紹介します。
バコパの冬越しと増やし方|枯らさないための管理法
バコパは多年草に分類されますが、寒さにやや弱い性質を持っています。暖地では冬を越せることもありますが、寒冷地では霜や低温で地上部が枯れてしまうことがあります。ここでは、バコパを元気に冬越しさせるためのポイントと、春に向けて株を増やすコツを解説します。
バコパの冬越しは室内または軒下で
冬の気温が5℃を下回る地域では、鉢植えにして移動できる状態にしておくのが理想です。霜や冷たい風にあたると葉が黒ずみ、株全体が弱るため、軒下や屋内の明るい場所に避難させましょう。
地植えの場合は、株元をバークチップやワラなどでマルチングし、冷気から根を守る工夫をします。地上部が枯れても、根が生きていれば春に新芽が出ることがあります。
また、冬の間は水やりを控えめにすることが大切です。休眠期に入るため、過湿になると根腐れの原因になります。土が乾いてから数日後に軽く与える程度にしましょう。
春に備えて挿し芽で増やす
バコパは春と秋に挿し芽で簡単に増やすことができます。健康な新芽を5~7cmほど切り取り、下の葉を取り除いたうえで、湿らせた培養土に挿します。1〜2週間ほどで発根し、そこから新しい株として育てられます。
この方法なら、木質化して古くなった株をリフレッシュしながら、若くて花つきのよいバコパを維持できます。
冬を越すためのチェックポイント
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霜や風に当てないよう、鉢は屋内または軒下へ
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水の与えすぎに注意(根腐れの原因)
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寒冷地では株元をマルチングして保温
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古い枝は早めに切り戻しておく
このように、冬越しと挿し芽を上手に取り入れることで、バコパは一年を通して楽しめます。
放置しすぎたバコパはどうすべき?
バコパは丈夫で成長が早い反面、放置してしまうと茎が暴れ、根が広がりすぎてしまう植物です。特に地植えの場合、一度勢いがつくと他の花壇スペースにまで侵入し、見た目が乱れて手がつけられなくなることもあります。ここでは、そんな「増えすぎたバコパ」をどう対処すべきかを紹介します。
自力での対処が難しい理由
バコパは節ごとに根を出しながら横に広がるため、表面を刈り取っても地下に根が残りやすいという特徴があります。そのまま放置すると、再び芽を出して同じように広がってしまうため、完全に除去するには根ごと掘り起こす必要があります。
また、木質化した古い株は非常に硬く、スコップでは取りにくいことも多いです。広範囲に根が絡んでいる場合、無理に抜こうとすると周囲の植物まで傷めてしまうリスクがあります。
剪定・撤去を業者に依頼するメリット
広がりすぎたバコパを一掃したい場合や、他の植物を残したい場合には、庭木の剪定・伐採業者に相談するのも一つの手です。業者なら、根ごと丁寧に除去したり、必要に応じて防草シートや仕切りを設置して再発を防いだりといった対応が可能です。
特に、バコパをグランドカバーとして植えてしまった場合、自分で処理するよりもプロに任せたほうが安全かつ確実です。短時間で作業を終えられるため、庭全体のバランスを整えるにも適しています。
依頼のタイミングと費用感
「手に負えない」と感じた時点で早めに相談するのがポイントです。繁殖期(春〜初夏)に入る前に処理することで、根の再生を防ぎやすくなります。
費用の目安としては、部分的な撤去なら1〜2万円前後、花壇全体の整理を含める場合は数万円程度が一般的です。見積もりは無料の業者も多く、電話やネットで簡単に依頼できます。
次では、ここまでの内容を整理しながら、バコパを植える際に意識したい注意点と対策をまとめます。
まとめ|可愛いけれどバコパは慎重に植えよう
バコパは、可愛らしい花姿と丈夫さから多くのガーデナーに愛されている植物です。しかし、その成長力と環境への敏感さから、「植えてはいけない」と言われることもあるように、扱いにはいくつかの注意点があります。
この記事では、バコパの繁殖力の強さや蒸れやすさ、木質化などの特徴を踏まえ、寄せ植えやグランドカバーとして使う際のポイントを紹介しました。特に、
育てる際は、風通しのよい場所で管理し、定期的に切り戻しや挿し芽による更新を行うことで、健康な状態を長く保てます。冬越しは寒さ対策を怠らず、屋内や軒下で守ってあげましょう。
かわいらしい見た目に惹かれて植えたバコパも、環境と手入れ次第で美しい庭のアクセントになります。植える前に性質を理解し、正しい管理を心がけて、長く楽しめるガーデンを作りましょう。