小さくてかわいい花を咲かせるプラティア。庭の隙間をふんわり覆う姿に惹かれ、「グランドカバーにちょうどいいかも」と思う方も多いでしょう。しかし、実際に植えてみると「広がりすぎて止まらない」「他の花が負けてしまった」と後悔する声も少なくありません。
この記事では、なぜ「プラティアは植えてはいけない」と言われるのか、その理由と正しい付き合い方を解説します。
プラティアとは?グランドカバーで人気の理由

プラティアは、キキョウ科の多年草で、別名「スターラージ」や「ローレンティア」とも呼ばれます。背丈が低く、地面を這うように広がり、小さな星形の花をたくさん咲かせる姿が特徴です。ブルーやホワイトの花色があり、ナチュラルガーデンや洋風の庭によく似合います。
特に人気なのは、春から初夏にかけて次々と花を咲かせ、グランドカバーとして雑草抑えの役割も果たしてくれる点です。芝生の代わりに敷き詰めたり、石畳のすき間に植えたりすると、可憐な雰囲気が楽しめます。
ただし、生命力が非常に強く、条件が合うとあっという間に広がってしまうこともあります。植えた当初は控えめでも、数ヶ月後には他の植物を覆い隠してしまうことも珍しくありません。この“旺盛な生育力”こそが、後に「植えてはいけない」と言われる原因の一つになるのです。
なぜプラティアは植えてはいけないと言われるのか
「植えてはいけない」と言われる理由には、見た目からは想像できないいくつかの落とし穴があります。ここでは代表的な3つを紹介します。
増えすぎて他の植物を圧迫する
プラティアは匍匐茎(ほふくけい)を伸ばしながら横に広がるため、気づけば花壇の端から芝生の方まで勢いよく侵入します。他の草花が負けてしまうほど強く、バランスの取れた植栽を保つのが難しくなることがあります。
日陰や多湿で枯れやすい場所もある
乾燥には比較的強いものの、蒸れやすい場所では根腐れしやすい性質があります。庭の環境によっては「広がる部分」と「枯れる部分」が混在し、見た目が不ぞろいになることも。結果的に「思っていたグランドカバーにならなかった」という声も少なくありません。
一度根づくと除去が難しい
プラティアは細かい根を地中深くまで張るため、完全に抜き取るのが困難です。地上部を刈っても、地下茎から再び芽を出すことがあり、完全に除去するには時間と労力がかかります。
こうした理由から、「かわいいけれど扱いが難しい植物」として注意が呼びかけられているのです。
プラティアの増えすぎを防ぐには?地植えの管理ポイント
プラティアを上手に育てるには、「広がりすぎない工夫」が欠かせません。放置してしまうと、気づかないうちに他の花壇まで侵入してしまうこともあります。以下のポイントを意識するだけで、かなりコントロールしやすくなります。
1. 鉢植えやプランターで育てる
最も安全なのは、地植えせずに鉢やプランターで育てる方法です。縁から茎が伸びて外へ出ていかないよう、鉢を台の上に置くとより安心です。
2. 根止め材を使う
どうしても地植えしたい場合は、花壇の周囲に「根止めシート」やレンガなどで囲いを作ると根が外に出るのを物理的に防げます。
3. 定期的にトリミングする
プラティアは横に広がるスピードが早いため、月に1〜2回は軽く刈り込むのが理想です。
花が咲き終わったあとに剪定すると、次の芽が出やすくなり、形も整います。
4. 蒸れを防ぐために間隔をあける
株と株の間を詰めすぎると、風通しが悪くなり、蒸れや根腐れの原因になります。
植えるときは、指2本分ほどの余裕をもたせておくとよいでしょう。
こうした管理を続ければ、地植えでも暴走を防ぎながら、きれいなグリーンカーペットを保つことができます。
プラティアの毒性やペット・子どもへの影響は?
見た目の可愛さから「子どもやペットが触っても大丈夫?」と心配する方も多いですが、プラティア自体には強い毒性はありません。触れたり、香りをかいだりする程度なら問題ない植物です。
ただし、以下のような点には注意が必要です。
小動物の誤食に注意
犬や猫が遊んでかじるような環境では、過剰摂取によって消化不良を起こすことがあります。食べ物ではないため、基本的にかじらせないようにしましょう。
除草剤・殺虫剤との併用リスク
プラティアそのものに毒はありませんが、手入れの際に使用する薬剤が残っていると、
ペットや小さな子どもが触れたときに皮膚炎を起こす場合があります。
薬剤を使うときは、乾燥してから近づけるようにしてください。
アレルギー体質の人は様子を見ながら
稀に、植物の汁でかぶれる人もいるので、剪定や抜き取りを行うときは、手袋をして作業するのが安心です。
このように、プラティアは一般的に安全な植物ですが、小さな子どもやペットがいる家庭では、念のため接触や誤食を防ぐ工夫をしておくと安心です。
それでも植えたい人へ|安全な育て方とおすすめの植え方
「それでもこの花が好きで植えたい」という方も多いでしょう。プラティアは、工夫次第で扱いやすく、美しいグランドカバーとして楽しむこともできます。
ここでは、安全に育てるための植え方とお手入れのポイントを紹介します。
鉢植えやコンテナで楽しむ
一番おすすめなのは、地面に直接植えず、鉢やコンテナで育てる方法です。
縁から垂れ下がるように花が咲くので、吊り鉢やテラコッタ鉢などでも映えます。
広がりをコントロールしやすく、冬越しの際も室内に取り込めます。
水はけのよい土を選ぶ
プラティアは多湿に弱い性質があります。赤玉土と腐葉土を7:3程度で混ぜた土や、市販の「山野草の土」が適しています。底に軽石を敷いて通気をよくしておくと、根腐れを防げます。
日当たりと風通しを確保
半日陰でも育ちますが、明るい日差しが2〜3時間当たる場所のほうが花つきがよくなります。夏の直射日光が強い時期は、午前中だけ日が当たるように調整すると安心です。
剪定と花がら摘みで美しく保つ
放置すると花後に茶色い茎が目立つため、咲き終わった花はこまめに摘み取りましょう。
また、勢いよく伸びた部分は軽くカットして整えると、ふんわりとした株姿が保てます。
ブルー系・ホワイト系の品種を使い分ける
「プラティア・ブルー」と「プラティア・ホワイト」では印象が異なります。
明るい庭にはブルー、ナチュラルガーデンにはホワイトを選ぶと、統一感のある雰囲気になります。
増えすぎて困ったときの対処法と業者に頼むケース
プラティアは、一度根づくと抜いてもまた出てくるほど生命力の強い植物です。広がりすぎた場合は、早めに対処することが大切です。
自分でできる除去方法
- スコップで地際から丁寧に掘り上げる
- 根をできるだけ残さず取り除く
- 取りきれない部分には厚めの防草シートを敷く
この作業を繰り返すと、徐々に生育範囲を狭めることができます。
ただし、根が細かく深く張るため、完全に除去するまでには時間がかかります。
広範囲に広がった場合は業者に相談
庭全体に広がってしまった場合や、他の植物の根と絡んでいる場合は、自力での除去が難しくなります。専門の剪定・除草業者なら、土壌へのダメージを最小限に抑えながら根ごと処理してくれるため、その後の再生リスクも減らせます。
業者に頼むのは「もう手に負えない」「毎年同じ場所に生えてくる」というタイミングが目安です。一度しっかりリセットすれば、その後の庭管理がぐっと楽になります。
プラティアの代わりにおすすめのグランドカバー植物
「やっぱり管理が大変そう…」「もっと扱いやすい植物を探したい」という方には、
プラティアの代わりになるグランドカバーがおすすめです。見た目の美しさを保ちながら、増えすぎや管理の手間を抑えられる植物を紹介します。
クラピア
芝生のように地面を覆う多年草で、踏圧にも強く、花もかわいらしい白色。
成長は早いですが、根の範囲がコントロールしやすく、庭全体に均一なグリーンを作りやすいです。
タイム(クリーピングタイム)
香りが良く、虫よけ効果も期待できます。
乾燥に強く、夏の直射日光にも負けないため、南向きの庭にぴったりです。
ピンクや紫の花が咲くので、彩りを添えたい方にも向いています。
ダイカンドラ(ディコンドラ)
やわらかな丸い葉が特徴で、芝生代わりとして人気です。
プラティアよりも成長が穏やかで、日陰にも強く、メンテナンスが簡単です。
セダム類
乾燥に強く、ほとんど水やりをしなくても枯れにくい多肉質の植物です。
石垣やレンガのすき間にも合い、ナチュラルガーデンとの相性も抜群です。
これらの植物は、プラティアのような可憐さを持ちながら、広がりすぎず、扱いやすいのが魅力です。庭の条件に合わせて選ぶと、より美しい景観を長く楽しめます。
まとめ|プラティアを植える前に知っておきたいこと
プラティアは、ブルーやホワイトの花が可憐で、グランドカバーとして魅力的な植物です。
しかし、生命力が強すぎて制御が難しく、「植えてはいけない」と言われることもあります。
ポイントを整理すると次の通りです。
-
条件が合うと増えすぎて他の植物を覆ってしまう
-
多湿や蒸れには弱く、環境によっては枯れやすい
-
地植えよりも鉢植えやプランター栽培が安心
-
定期的な剪定と根止めでコントロールが可能
もし庭全体を覆う目的で使うなら、広がり方を計算に入れて、根止め材や境界を設けて植えるのが理想です。
「かわいいけれど手間もある」――そんなプラティアを理解したうえで付き合えば、
小さな花が咲く季節ごとに、庭にやさしい彩りを添えてくれるでしょう。