梅雨時のアジサイ(紫陽花)も新春のロウバイ(蝋梅)も庭を彩る人気の花木達ですが、大切にお手入れして長い間美しい花を楽しむために、この記事ではアジサイ(紫陽花)とロウバイ(蝋梅)の剪定方法について解説していきます。
花木の剪定時期一覧表はこちらの記事をどうぞ!
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アジサイ(紫陽花)について

アジサイは日本原産の落葉低木で、梅雨の時期である6〜7月頃に美しい花を咲かせ、現在では日本・ヨーロッパ・アメリカなどで観賞用に広く栽培され、多くの品種が作り出されています。
ヤマアジサイ・ガクアジサイは土を酸性にすれば青花になり、中性〜アルカリ性にすればピンク花になることが知られていますが、草全体に毒性があり、誤食すると嘔吐やめまいなどの症状が出ることがあるので注意が必要です。
種類
ヤマアジサイ

- 日本原産で、装飾花が少なく、中心の小さな両性花が目立つ。葉はうぶ毛が多く、薄手で光沢がない。樹高は1〜2m
- 開花時期:5月下旬〜6月
- 品種: 三河アジサイ、紅(べに)、七変化など
ガクアジサイ

- ヤマアジサイの変種で、装飾花が大きく発達している。葉はうぶ毛が少なく、厚手でやや光沢がある。樹高は2〜3m
- 開花時期:6月下旬〜7月
- 品種: ベニガク、墨田の花火など
ハイドランジア(西洋アジサイ)

- ガクアジサイを西洋で品種改良したもので、花が大きく色が豊富である。花の色は品種によって決まっているものが多く、土壌の酸性度による変化は少ない。
- 品種: ナイチンゲール、コメットなど
カシワバアジサイ

- 北アメリカ東部原産で、円錐形の白い花とカシワ(柏)に似た大きな葉を持ち、秋には紅葉する。花期が長く、秋には紅葉するので夏から秋にかけて楽しめる。
- 開花時期:5〜7月中旬
- 品種: スノークイーン、ピンクダンサーなど
アメリカノリノキ

- 北アメリカ東部原産で、土壌のpHに関わらず白色で咲く大きな花が特徴
- 開花時期:6〜7月
- 品種:アナベル
ノリウツギ

- 日本原産で、円錐形の花が咲く。寒さに強く初心者でも育てやすい
- 開花時期:7月〜9月中旬
- 品種:ミナヅキ、ライムライトなど
育て方
半日陰を好み、直射日光が当たると葉焼けを起こすことがあるので、日当たりを考慮して植える場所を決め、水はけが良く保水力に富んだ土に植えます。
土が乾いたらたっぷりと水をやり、春と秋には緩効性肥料を与えます。
花が終わった後に古い枝を剪定し樹形を整えると翌年もきれいな花を楽しむことができる上、剪定枝を利用して株を増やすこともできます。
アジサイの剪定時期と方法について
剪定をしないとどうなる?
アジサイは枝の先端に花を咲かせる性質があるので、剪定しないままだと樹高がどんどん高くなり、ぼさぼさとした見た目になる上、枝葉が込み合い風通しが悪くなるとカビや病害虫が発生しやすくなるため、植物の健康を守るためにも剪定は必要なのです。
アジサイ(紫陽花)が咲かない原因
病害虫や霜により花芽が傷んでしまったり、誤って花芽のついた枝を切ってしまうと花が咲きません。旧枝咲き・新枝咲きのアジサイ(紫陽花)かを知り、不要な枝を見極めて正しく剪定すると失敗を防げますが、わからない場合は旧枝咲きとして扱うと良いでしょう。
新枝咲きと旧枝咲きの違い
旧枝咲き(ヤマアジサイ・ガクアジサイ・カシワバアジサイなど)
翌年の花芽が夏の終わりの時期に形成されるので、花が咲いた後の7月下旬頃までに花が咲いた枝のみ剪定しましょう。
もし秋まで剪定し忘れてしまった場合は、既にできた花芽の約2cm上で剪定し、花が咲かなかった枝は翌年花が咲く可能性が高いので剪定しません。
新枝咲き(アナベルなど)
春に新しく伸びた枝に花芽をつけるので、花を楽しんだ後から年を越えて早春までに剪定しましょう。
全体のバランスを考慮すればどの枝を剪定しても構いませんが、弱めに剪定すると多くの花が咲き、強めに剪定すると花数は減るものの1つの花が大きくなります。
剪定の時期と方法
花後剪定
花の色が褪せてしおれてきたら、花が咲いた節(葉の付け根)から2〜3節目の芽の上をよく切れる剪定鋏で切りましょう。旧枝咲きタイプは7月下旬までに剪定します。
樹形を整える剪定(強剪定・弱剪定)
樹形を整えるための強剪定は11〜3月の休眠期に行い、地際から2〜3節で剪定します。強剪定をすると、翌年強い枝が出て大きな花が咲きます。
混み合った枝を間引く弱剪定も必要に応じて同時に行い、細すぎる枝や昨年枝が生えて来なかった枯れ枝も枝元から切り落とします。
ロウバイ(蝋梅)について

ロウバイは中国原産の落葉低木で、12〜2月頃の新春にロウ細工のような小さくて黄色い花を咲かせ、中国ではウメ・スイセン・ツバキとともに「雪中の四花」として愛され、江戸時代初期に日本へ渡来してからは生け花や茶花、庭木として利用されてきました。
英名「Winter Sweet(ウィンタースウィート)」と呼ばれるほど濃厚な甘い香りも特徴ですが、品種によって香りの強さは異なります。
種類
ワロウバイ(和蝋梅)
ロウバイの基本種です。花の中心部が濃い紅紫色で、花びらの形はやや細長く先端が尖っており、香りはあまりしません。
ソシンロウバイ(素心蝋梅)
花びらも花の中心部も全て透き通った薄い淡黄色で、花びらの幅が細めです。濃厚な甘い香りが特徴で、最もよく庭木として育てられています。
マンゲツロウバイ(満月蝋梅)
全体的に淡黄色が濃く花の中心部に赤褐色の輪があり、丸みのある形をしています。香りはフルーティな甘い香りが特徴です。
フクジュロウバイ(福寿蝋梅)
花びらも花の中心部も花全体が鮮やかな濃い淡黄色で、花びらに幅があり丸みがあります。香りはほのかに甘い香りがする程度です。
育て方
半日陰〜日当たりの良い場所を選び、水はけのよい用土に苗木を植え付けますが、ロウバイは移植を嫌うため、地植えの場合は成長後の大きさをイメージしてから場所を決めます。
植え付けは11月から3月頃の落葉期に行いますが、1・2月に植え付けると枯れる可能性があるため、寒冷地は凍結防止のため3月頃に植え付けて、苗木の植え付けから約3〜4年で花が楽しめるようになります。
ロウバイの剪定時期と方法について
剪定をしないとどうなる?
ロウバイは不要枝や根元から延びる枝(ひこばえ)が多く出るので、剪定を行わないと樹形が乱れる上に栄養が行き届かず、花付きも悪くなってしまいます。
またロウバイはその年に伸びた新しい枝に花芽をつけるため、古い枝を適宜切り戻して新しい枝を出すようにした方がより多くの花を楽しむことができます。
剪定時期
花が咲き終わって新芽が出る前の2月下旬〜3月頃が最適で、落葉が終わる11月頃にも剪定できますが、早ければ年末から咲き始めるの、冬剪定をするならば落葉後なるべく早めに行います。
剪定方法
成木になると自然に樹形は整うのですが、樹形が乱れがちな若木の頃は透かし剪定を行い、枯れた枝や花が付きにくい古い枝と長い枝などを短く切りつめ、内側や逆さに向かって伸びる枝や根元が伸びるひこばえも樹形の乱れにつながるので取り除きます。
2㎝以上の太い枝を切る際はノコギリを使用しますが、樹皮が裂けやすいので、先に切る枝の下側に切り込みを入れておくなど工夫が必要で、太い枝を切った後の切り口には癒合剤を塗布し腐蝕を防ぎます。
アジサイ・ロウバイの剪定|まとめ
アジサイとロウバイの種類・育て方・剪定について解説しました。
- 旧枝咲き(ヤマアジサイ・ガクアジサイ)は7月下旬頃までに花が咲いた枝のみ剪定
- 新枝咲き(アナベル)はいつでもOK、樹形のバランスを考えて剪定
- 花が咲いた後の2月下旬〜3月頃か、落葉後の11月頃に剪定
- 長い枝や込み合った枝を透かし剪定すると花付きが良くなる
こちらの記事が大切な花木を長い間美しく楽しむ参考になれば幸いです。