剪定を自分で行う時、切り過ぎてしまうこともあるかもしれませんが、この記事ではそのような失敗を防ぐにはどうすればいいのか、また切り過ぎた場合にどう対処すれば枯れずに済むのかについて調べてまとめました。

剪定で切り過ぎた時の影響
剪定しすぎると、植物に以下のような影響が出る可能性があります。
- 成長が止まる
葉や枝を取り除きすぎると光合成が不十分になり、成長が鈍くなります - 病気にかかりやすくなる
ダメージから回復するのに時間がかかり、病害虫に弱くなります - 樹形が乱れる
成長が不均一になり、美しい樹形を保ちにくくなります
剪定で失敗しないポイント
剪定の基本を学ぶ
剪定には、切り戻し・間引き・透かし剪定など、さまざまな方法があり、それぞれの方法を理解して適切に使い分けることが大切です。剪定に関する書籍やウェブサイトで知識を得たり、プロの庭師や造園業者の剪定作業を見る機会があれば見学するのも良いでしょう。
剪定の失敗を防ぐために、最低でも以下の点について押さえておきましょう。
- 適切な時期に剪定を行う
一般的に落葉樹は葉が落ちた後の休眠期(冬)に、常緑樹は生育が緩やかになる時期(春または秋)に行うのが良いとされるが、剪定前に樹種の特性を知る
- よく切れる清潔な剪定道具を使う
切り口が綺麗だと木の負担を軽減できるため、切れ味の良い剪定ばさみを使用し、太い枝を切る場合には、切れ味の良いノコギリを使い、病気予防上も道具の消毒を必ず行う
- 必ず節や芽のすぐ上で切る
節や芽が新しい成長の基点となるため、この部分のダメージを最小限にすることで速やかな再成長が期待できる
- 剪定の目的を明確にする
樹形を整える・風通しを良くする・不要な枝を切るなどの目的を明確にすることで、切るべき枝と残すべき枝が判断しやすくなる
- 太い枝を切るときは2段階で切る
枝が裂けないように下側に浅く切り込みを入れた後、上から切り落とし、切り口を滑らかに整えることで木へのダメージを最小限に抑えられる
- 難しそうな時は専門家に依頼する
樹形のバランスをとるのが難しい場合、高い場所での作業が必要な場合、大切な庭木の場合は、無理せず専門家に依頼する
木をどんな形にしたいか、だけでなく木の年齢に応じても剪定方法は変わります。
- 若木の剪定: 樹勢を強めるために、太い枝を数本残して、細い枝を間引く
- 成木の剪定: 花芽を多くつけるために、花芽がつく枝を短く切り詰める
- 老木の剪定: 樹勢を回復させるために、枯れ枝や混み合った枝を切除する
太い木の枝は正しい位置で切る
樹木へのダメージを抑えるには、木の構造を理解し、正しい位置を切る必要があります。

枝の付け根の下部に見られる膨らんだ部分(ブランチカラー)は、幹の細胞が枝を覆っている部分で、枝ではなく幹を傷つけることになります。
また枝の基部には、腐朽菌の侵入を防ぐ役割を担う保護帯がありますが、何らかの原因でここが破られると腐朽菌が幹内部へ侵入し大きな問題を引き起こします。
フラッシュカットと切り残しはNG
フラッシュカットとは、枝の付け根に沿って平らに切る方法で、切り口はスッキリと見えますが、これは幹の組織まで切り取ることになり、傷口が塞がりにくく、病原菌も侵入しやすくなるため、現在では推奨されていません。
切り残しとは、枝の途中から切る方法で、幹の組織が傷口を塞ごうとしても、枝の残りが邪魔をしてなかなか塞ぐことができません。
樹勢が強ければ「保護帯」で腐朽菌を防げますが、樹木が弱っていると腐れが幹の中にまで広がってしまいます。
枝と幹の境界部分で剪定する(図内の青線)と、傷口を塞ぐための組織の成長が切り口の全周から始まり、やがて切り口は完全に閉じられます。
切り口が荒いと病害虫が入る原因になるため、切れ味の良いノコギリを使用して切り口をなめらかに切りましょう。
自分でやるよりプロに任せたいという方はこちらも参考にしてくださいね。

切り過ぎた場合の対処法
①植物の状態をチェックする
まず、植物の状態を観察してみて、切り過ぎた箇所が健康な組織を残しているなら、植物は自力で回復できる可能性が高く、特に芽や成長点が残っている場合は、比較的早く回復する可能性が高いでしょう。
葉が少なくなると、光合成量が減り植物の生育が鈍るので、残った葉で十分な光合成ができるかも確認しましょう。
②肥料・水・日当たりの管理を行う
肥料
剪定後の弱っている状態から急激な成長を促すことは植物に負担になるので、回復期には肥料は控えめにします。
もし使用するなら、ゆっくり効く肥料を選び、特に窒素分の多い肥料は控えて、根の成長を促すリン酸、植物の抵抗力を高めるカリウムを含む肥料を与えましょう。
水やり
土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをするようにしますが、鉢植えの場合は、受け皿に水が溜まらないよう注意しつつ、土壌が乾燥しすぎないようにしながら、過剰な水やりを避けて根腐れを防ぐようにしましょう。
日当たり
植物の種類によって最適な日照時間は異なりますが、特に夏場は強い日差しが植物を弱らせることがあるため、切り過ぎた後は直射日光を避けましょう。
屋外なら日よけネットを使用したり、半日陰に移す、屋内ならレースカーテンなどで遮光すると良いでしょう。
③剪定箇所を保護する
太い枝を切り過ぎた場合は、特に果樹やバラなど切り口から病気が入りやすい植物に効果的ですが、切り口に保護剤を塗ることで病害虫の侵入を防ぎやすくなります。
植物の種類や季節によって適切な癒合剤は異なりますが、太い枝の切り口には、殺菌効果の高い癒合剤がおすすめです。
- 種類:殺菌効果、乾燥防止効果、癒合促進効果など
- 塗布のタイミング:切り口が乾いてから塗布すると効果的
- 塗布の仕方: 切り口全体に薄く均一に塗るようにしましょう
④次回の剪定計画を見直す
同じ失敗を繰り返さないために、次回の剪定に向けて計画を立て、剪定前に以下の点を確認すると切り過ぎを防ぎやすくなります。
- 事前に樹形をイメージする
- どの枝を切るか印をつける
- 一度に切る量を全体の20-30%以内に抑える
まとめ
この記事では剪定で失敗しない方法と切り過ぎた時の対処法についてお伝えしました。
- 切る前に剪定の基本を知り、目的を明確にして少しずつ切ろう
- 切り過ぎたら肥料・水・日当たりの管理をして気長に待つ
- 悩んだ時は専門家に依頼・相談しよう
切り過ぎた枝は戻りませんが、植物をよく観察して適切な対処をし、気長に回復を待ちましょう。