ツツジやドウダンツツジは、正しい剪定を行うと毎年見事な花を咲かせ、美しい樹形を保てますが、剪定時期を間違えると花が咲かなくなってしまうこともあります。
本記事ではツツジとドウダンツツジの剪定についてわかりやすく解説します。
花木の剪定時期一覧表はこちらの記事をどうぞ!

ツツジとドウダンツツジの違い
ツツジとドウダンツツジは、どちらもツツジ科に属する植物ですが、分類上は異なる属で、ツツジはツツジ属、ドウダンツツジはドウダンツツジ属です。
ツツジは品種によって落葉性と常緑性があり、花の形もラッパ状で多様な色彩が特徴ですが、ドウダンツツジは全て落葉性で、春に釣鐘状の白い花を咲かせ、秋の紅葉が特に美しいことで知られています。
項目 | ツツジ (Azalea) | ドウダンツツジ (Japanese Andromeda) |
---|---|---|
分類 | ツツジ科ツツジ属(品種により落葉・常緑低木) | ツツジ科ドウダンツツジ属(落葉低木) |
花の形 | ラッパのような形 | スズランのような釣鐘型 |
花色 | ピンク、オレンジ、黄色、白など多様 | 主に白(サラサドウダンなどピンク系もあり) |
葉の特徴 | 3〜5cm程度と比較的大きく、細かい産毛がある | 1〜2cm程度と小さく、薄くて光沢がない |
ツツジ・ドウダンツツジの剪定の適期について
剪定時期については、どちらも花後すぐの5月〜6月が翌年の花付きを良くするための最適な時期であるという共通点があります。
しかし、ドウダンツツジは紅葉も鑑賞の対象となるため、紅葉を優先する場合は剪定時期を気にせず、年間を通して樹形を整えることが可能ですが、ツツジの落葉性品種は萌芽力が常緑性に比べて弱い為、大きく樹形を変えるような強剪定は避けたほうが良いでしょう。
ツツジの剪定

ツツジは4月〜5月頃に開花し、その後すぐに翌年咲く花芽を形成し始める為、この花芽を誤って切り落とさないよう花が終わった直後の5月〜6月に剪定を済ませると、新しい枝が十分に伸び、そこに翌年の花芽が形成される時間を確保できます。
剪定方法は主に「刈り込み」と「間引き」
刈り込み
ツツジ全体を丸い形に整えるように刈り込みますが、ツツジは生長が早いので少し小さめに刈り込むのがちょうど良いとされています。
間引き
枯れた枝、病気にかかった枝、絡み合っている枝、内側に伸びている枝など、不要な枝を根元から切り落とすと、株全体の風通しと日当たりが改善され、病害虫の発生を防ぎます。
また、咲き終わった花がらを速やかに摘み取ることも重要で花がらを放置すると、新しい枝の生長が遅れ、花芽の形成に間に合わないことがあります。
もし剪定時期を逃してしまった場合でも、秋から冬にかけて剪定を行うことは可能ですが、翌年の花芽を切り落としてしまうリスクが高いので、この時期に剪定する場合は、飛び出た枝を軽く整える程度にとどめるか、翌年の開花を諦めて大胆に樹形を整えるかの判断が必要となります。
ドウダンツツジの剪定

ドウダンツツジは、春にスズランのような可愛らしい白い花を咲かせ、秋には鮮やかな紅葉が楽しめる人気の落葉低木で、ドウダンツツジの花芽は、前年の夏(7月〜8月頃)に形成されツツジと同様に剪定時期が翌年の花付きに大きく影響します。
花と紅葉の両方を楽しむための最適な剪定時期は、ツツジと同じく、開花直後の5月〜6月でこの時期に剪定を終えることで、花芽が形成される前に不要な枝を整理し、翌年の開花を促すことができますが、目指す樹形によって剪定方法が異なります。
自然樹形を楽しむ場合
ドウダンツツジは、基本的に放置しても美しい樹形を保つ性質があり、この場合は、伸びすぎた枝、重なり合った枝、枯れた枝、古い枝など、樹形を乱したり株の健康を損ねる不要な枝を付け根から間引く「透かし剪定」を行うと風通しと日当たりが良くなり、病害虫の発生を抑え、健康な成長を促進します。
玉仕立てや生垣に整える場合
ドウダンツツジは萌芽力が強く、刈り込みにも耐えるため、丸い玉状や生垣として仕立てることも可能ですが、この場合は、年間を通してこまめに刈り込みを行い、好みの形に整えていきましょう。
花付きを重視するのであれば、花芽が形成される夏以降の大胆な刈り込みは避けるべきですが、紅葉をメインに楽しみたい場合は、剪定時期をあまり気にする必要はありません。
夏以降に伸びた徒長枝は、紅葉が終わる11月中旬〜12月に切り戻し、樹形を整えることができますが大きく樹形を変えたい場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
剪定後のケアと失敗を避けるための注意点
剪定作業は、植物にとって大きな負担となる為、剪定後の適切なケアを理解しておくと植物の健康を守り、失敗を避けることができます。
切り口の保護
太い枝を切った場合、切り口から水分や養分が流出しやすくなったり雑菌や雨水が侵入しやすくなったりする上、樹液に害虫が集まる可能性もあります。
これを防ぐためには切り口に癒合剤をヘラなどで均一に塗り広げると、効果的に切り口を保護できます。
剪定で失敗する主な原因と対策
花芽の誤切断
最も一般的な失敗は、花芽が形成された後に剪定を行い、翌年の花付きを悪くしてしまうことで、避けるためには、最適な剪定時期(ツツジ・ドウダンツツジは花後すぐの5月〜6月)を守ることが重要です。
強剪定による樹勢の低下
必要以上に強く剪定しすぎると、木が弱ってしまい、回復に時間がかかったり、枯れてしまうこともある為、木の状態を見ながら少しずつ剪定を進めることが大切です。
まとめ
こちらの記事ではツツジとドウダンツツジの剪定について解説しました。
- 両者は同じツツジ科だが異なる属に分類され、花の形や葉の特徴が異なる
- ツツジもドウダンツツジも、花後の5月〜6月が剪定のベストタイミング
- 剪定方法には、樹形を整える刈り込みと、枯れ枝や不要な枝を除去する間引きがある
こちらの記事がツツジとドウダンツツジの剪定の際にお役に立てば幸いです!