庭に甘く香るキンモクセイや、鮮やかな花を咲かせるトキワマンサクは、私たちの生活に彩りを与えてくれる庭木ですが、毎年豊かな花を楽しむには適切な剪定作業が欠かせません。
本記事では、キンモクセイとトキワマンサクの剪定に関して初心者でも安心して作業できるよう、具体的な時期・方法・よくある失敗とその対策までを詳しく解説します。
花木の剪定時期一覧表はこちらの記事をどうぞ!
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キンモクセイ(金木犀)について

キンモクセイは、中国南部原産のモクセイ科の常緑小高木で、特に秋(9月から10月頃)に咲くオレンジ色の小さな花が放つ芳香と厚く光沢のある濃緑色の葉が特徴です。
キンモクセイは水はけの良い肥沃な土壌と日当たりの良い場所を好み、乾燥には比較的強く適切な剪定を行うことで花付きが良くコンパクトな樹形を保つことができます。
目的別の最適な剪定時期
樹形をコンパクトにしたい
キンモクセイの剪定は、新芽が芽吹く前の3月下旬~4月上旬が最も適しており、その理由は新芽の成長が活発になる前であるため、主幹を切り取ったり多めに枝を間引く強剪定にも耐えられるので樹形をコンパクトにしたい場合はこの時期に行うのが良いでしょう。
花を楽しみたい
花や香りを楽しみたい場合は、花が咲き終わった後の10月中旬~11月に軽い剪定(弱剪定)にとどめることが重要で、この時期に強剪定をしてしまうと光合成の低下により木が弱り、冬の寒さに耐えられなくなるリスクがあります。
特に、春から夏の剪定は花芽の形成期であり、4月以降に伸びる枝には花芽がつくので花を楽しみたい場合は4月以降の剪定を避けるのが賢明です。
寒冷地では、冬の厳しい冷え込みが木にダメージを与える可能性があるため、花後の剪定自体を避け、春になってから剪定を行えば失敗を避けられます。
基本的な剪定方法と強剪定の注意点
キンモクセイは強剪定に向かない樹木であり、特に葉のないところまで深く切ってしまうと回復に非常に時間がかかるので、全体的に枝を減らすような強い剪定は3~4年に1回程度に留め、数年かけて徐々に樹形を小さくしていくのが安全でしょう。
その年に伸びた枝は3つに分岐していることが多いため、真ん中の枝を付け根から切り、左右の枝は一節または二節の部分で、葉を2~4枚程残して切りましょう。
キンモクセイは上枝の成長が早い傾向があるので、全体を同じように剪定すると上部が大きくなりすぎてバランスが悪くなるので上部をより透かすように、わき芽が外側を向く位置で切ると、その後の成長でバランスよく樹形が整いやすくなります。
また低い位置で剪定すると枝や葉が極端に少なくなり枯れるリスクが高まるため、最低でも樹高2~3mを保つようにしましょう。
剪定後のケアと年間の管理
水やり・肥料・虫対策
キンモクセイは水はけの良い土壌を好みますが、剪定後は植物がストレスを受けているため、特に植え付け直後や乾燥しやすい時期は、根が定着するまで水やりを欠かさずに行い、肥料については春と秋に緩効性の肥料を施すと良いでしょう。
キンモクセイにはカイガラムシ、ハダニ、イラガ、マエアカスカシノメイガの幼虫などが付きやすいので、定期的に植物を観察し、早期発見・早期対応を心がけましょう。
冬季の防寒対策
剪定後のキンモクセイは冬の寒さに備える必要があり、特に寒冷地では、厳しい冬の冷え込みが木にダメージを与えることがあるので、冬の強風や霜によって剪定部分が傷まないよう防寒対策を行いましょう。
根元にわらや枯葉を敷き詰めるマルチングは、地温を保ち、乾燥や冷え込みを防ぐのに効果的です。
トキワマンサクについて

トキワマンサクは日本や東アジア南部原産の常緑小高木で、春(4月から5月頃)に咲く細いヒモ状のユニークな花が特徴で、緑葉の他に赤褐色葉の品種もあります。
成長が比較的早く、放っておくと5m程度にまで伸びることがありますが、枝葉が密に出て刈り込みに非常に強い性質を持つため、庭園樹や生垣、盆栽など幅広い用途で利用されます。
トキワマンサクの剪定
トキワマンサクは非常に丈夫で、刈り込みに強い性質を持つため、比較的剪定しやすい植物ですが、6月下旬頃から翌年の花芽を形成し始めるので花が咲き終わって間もない5月中旬~6月頃に剪定を済ませておくと翌年の花付きを損なうことなく樹形を整えられます。
生垣として利用している場合は、樹形を維持するために9月~10月に樹冠より飛び出て伸びた枝をもう一度剪定しても問題ありませんが、この時に花芽を切ってしまう可能性より生垣としての目隠しや樹形の調整が優先されるため、花を多少犠牲にしつつ管理することも一つの方法です。
基本的には真夏以外のタイミングであれば、どの時期に剪定をしても大きな問題はないとされていますが、花を最大限に楽しむためには花後の剪定が推奨されます。
基本的な剪定方法と生垣・庭木での違い
トキワマンサクの剪定は、用途によってアプローチが異なります。
庭木として自然な樹形を楽しむ場合
強い剪定は避け、不要な枝を間引く程度の軽い剪定に留め、長く伸びすぎた枝や徒長枝は切り詰めますが、その際は葉のついているすぐ上で切ると枝数が増えます。
不要枝(枯れ枝、他の枝と交差している枝、内向きや下向きに生えている枝、根元から出てくる若芽であるひこばえなど)は枝元から切り落とし、全体に栄養が行き渡るようにしますが、不要枝は必ず付け根から切り取らないと切り口から複数の新芽が出て樹形が乱れる原因となります。
生垣として刈り込む場合
刈り込みバサミでは切れないような太い枝を剪定バサミで枝の付け根から切り取った後、管理のしやすさと見た目の美しさを考慮して、1〜2mほどの高さに揃えた後、両サイドを垂直に刈り込みます。
作業中は定期的に後ろに下がって全体のバランスを確認しながら進め、下から上へ刈り込み、上部は狭めに、下部は少し広めの台形に仕上げると良いでしょう。
前年に切った位置まで刈り込んで維持しないと、どんどん膨らんで大きくなってしまうため、毎年軽い刈り込みを行うことで、薄くて葉が密な生垣を維持できます。
剪定後のケアと年間管理
トキワマンサクは日当たりの良い肥沃で水はけの良い土壌を好み、半日陰でも十分に育つ丈夫な植物ですが、夏場の乾燥を嫌うので乾きやすい場所は避けましょう。
肥料は早春に遅行性肥料を、花後と秋に緩効性肥料を追肥すると効果的ですが、花付きが良い場合は無理に与える必要はありません。
まとめ
本記事では、香りの良いキンモクセイと鮮やかなトキワマンサクを健康に保ち、美しい姿と豊かな花を毎年楽しむための剪定方法について詳しく解説しました。
- キンモクセイは強剪定に弱く、花を楽しむためには花後の軽い剪定がおすすめです
- キンモクセイの強剪定は3~4年に1回程度に留めましょう
- トキワマンサクを庭木として自然な樹形を楽しむ場合は花後の5月中旬~6月に弱剪定を
- トキワマンサクは刈り込みに強く、生垣にする場合は秋にも刈り込んで形を整えましょう
この記事がキンモクセイとトキワマンサクの管理に役立てば幸いです!