日本の秋を彩るモミジ(紅葉)は多くの人々を魅了し、庭木としても非常に人気がありますが、剪定を怠ると樹形が乱れて病害虫の発生リスクが高まったり、日光が十分に当たらない枝は色づきがまばらになることがあります。
この記事ではモミジの剪定について詳しく解説していきます。
花木の剪定時期一覧表はこちらの記事をどうぞ!

モミジ(紅葉)の剪定

モミジ(紅葉、カエデ属の総称)は、深く切れ込みのある掌状の葉が特徴の落葉広葉樹で、春は新緑、秋は鮮やかな赤や黄に色づき、観賞用として庭木や公園樹として人気です。
日当たりと水はけの良い環境を好み、樹高は種によって2〜10m程度まで成長し、耐寒性もあり、剪定にも比較的強い植物です。
モミジの最適な剪定時期
モミジの剪定は、基本的に木が活動を休止している休眠期に行うのが最適で、具体的には、以下の時期がベストとされています。
落葉後(11月下旬〜12月)
モミジの葉がすべて落ちきった後の、晩秋から初冬にかけての時期は、木の活動が緩やかなので、剪定による負担が少なく、翌年の新芽の成長に悪影響を与えにくいというメリットがあります。
また、葉がないため枝の全体像が見やすく、どのような樹形にしたいかイメージしやすいのも利点といえるでしょう。
新芽が出る直前(2月〜3月上旬)
春先に新芽が動き出す直前の時期も、剪定に適しており、この時期に剪定を行うと、切り口から出る樹液(ヤニ)が少なく、回復が早まりやすいと言われています。
ただし、新芽が膨らみ始めてからの剪定は、樹液の流出が多くなり、木に負担がかかる可能性があるため要注意です。
夏剪定(軽い剪定)の考え方と目的
上記で説明した休眠期の剪定が本格的な剪定であるのに対し、樹形の微調整や込み合った枝の軽い間引き、病害虫の早期発見・除去などを目的として夏にも軽い剪定を行うことがあります。
夏はモミジが最も活発に活動している時期なので、強く剪定しすぎると、木が回復にエネルギーを使いすぎてしまい、紅葉が美しくならなかったり、翌年の成長に悪影響を与えたりする可能性があるのであくまで軽く整える程度にしましょう。
避けるべき時期とその理由
モミジの剪定には、絶対に避けるべき時期があります。
新芽が展開している時期(4月〜5月)
この時期に剪定すると、モミジの樹液が大量に流れ出てしまい、木が栄養を失って衰弱する原因となり、新しく出たばかりの繊細な葉や枝を傷つけてしまうリスクもあります。
真夏(7月〜8月)
特に暑い真夏は、木が強いストレスを受けている時期であり、この時期に剪定を行うと、回復が遅れ、最悪の場合、木が枯れてしまう可能性もあるので、軽い剪定を行う場合でも、猛暑日は避け、涼しい時間帯を選びましょう。
モミジ剪定の基本方法

正しい切り方と注意点
- 枝の分岐点や付け根で切る
- 枝の途中で切る場合は、必ず外芽(そとめ)の上で切る
- 枝を残しすぎない
枝を切る際は、その枝が他の枝と分岐している部分や、幹からの付け根の部分で切るのが基本で、中途半端な位置で切るとそこから枯れ込んだり、不自然な芽が出てしまいます。
また外芽の上で切ることで、新しい枝が樹形の外側に向かって伸び、美しい樹形を保ちやすくなるので、芽の数ミリ上を斜めに切ると水がたまりにくく切り口の回復も早くなります。
樹形を意識した剪定のコツ
モミジの剪定は、単に不要な枝を切るだけでなく、将来どのような樹形にしたいかをイメージしながら行うことが大切です。
- 自然な樹形を活かす
- 全体のバランスを見ながら剪定する
- 少しずつ切る
失敗しないための注意点
切りすぎは厳禁!
モミジは比較的丈夫な木ですが、過度な剪定は木に大きな負担を与え、回復に時間がかかったり、最悪の場合枯れてしまったりするリスクがあります。
必要以上に切り詰めると、幹や太い枝から、ひこばえや胴吹き枝と呼ばれる勢いの良い細い枝が大量に発生して樹形を乱し、かえって手間が増えることもあります。
また密集していた枝葉を一度に大量に切ると、今まで陰になっていた幹や太い枝に急に強い日光が当たり、日焼けを起こすこともあります。
慣れないうちは、「少し物足りないかな?」と感じる程度で止めておき、毎年少しずつ手入れして、理想の樹形に近づけていきましょう。
癒合剤の必要性と使い方
剪定後の切り口は、人間でいう傷口と同じでそこから病原菌が侵入したり、水分が蒸発して木が弱ったりする可能性があるのでこれを防ぐために癒合剤を塗布します。
枝を切った後は、切り口全体を覆うように、薄く均一に塗るのがポイントで、特に太い枝を切った場合は必ず塗布するようにしましょう。
こんな時はプロに依頼を
以下のような場合は、無理に自分で剪定せず、専門の造園業者や庭師に依頼することをおすすめします。
- 高所作業や大規模な剪定が必要な場合
- 樹勢が弱い、または病気にかかっている場合
- 理想の樹形がイメージできない場合
モミジの年間管理
剪定以外の年間管理
モミジを健康に育てるためには、剪定以外にも年間を通して適切な管理が必要です。
施肥(せひ)と水やり
モミジは生育期に多くの栄養を必要とするため、春先に緩効性の肥料を与え、水やりについては、特に植え付け直後や乾燥が続く時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、過剰な水やりは根腐れの原因となるため要注意です。
病害虫対策
定期的に葉や枝を観察し、病気や害虫の兆候がないかチェックし、必要であれば適切な薬剤散布も検討します。
落ち葉の掃除
落葉期に、落ち葉をこまめに掃除をせずに放置すると、病原菌や害虫の越冬場所になったり、土壌の通気性を悪くしたりする原因になります。
モミジ剪定のまとめ
本記事では、モミジの剪定について、その重要性から具体的な方法、注意点を詳しく解説しました。
- モミジの剪定は樹形の維持と病害虫の発生予防に加え、色づきを良くするために必須
- 剪定の最適な時期は、葉が落ちきった後の休眠期(11月下旬〜3月上旬頃)
- 自然樹形を生かして少しずつ切り、剪定後は癒合剤を塗布
この記事が、あなたの庭のモミジがより美しく、健やかに育つための一助となれば幸いです。