アーチやフェンスを華やかに彩るモッコウバラは、手入れを怠るとあっという間に枝が絡まり、花つきも悪くなってしまいます。そんなときに役立つのが「強剪定」です。強剪定とは、古くなった枝を思い切って切り戻し、株を若返らせる方法です。
この記事では、放置して伸びすぎたモッコウバラを元気に再生させるためのステップを、初心者にもわかりやすく紹介します。
モッコウバラの特徴と放置で起こるトラブル

モッコウバラ(木香薔薇)は、春にたくさんの小さな花を咲かせるつる性のバラです。一般的なバラに比べてトゲがほとんどなく、病気にも比較的強いことから、初心者にも人気があります。
アーチやフェンス、玄関まわりに這わせると、春には黄色や白の花が壁一面を覆うように咲き、見応えのある景観をつくります。種類には「キモッコウバラ(黄)」「シロモッコウバラ(白)」があり、どちらも香り高く、春風にのって甘い香りを漂わせます。
モッコウバラを放置するとどうなる?
モッコウバラは成長スピードが非常に速く、1年で数メートルも枝を伸ばします。そのため、剪定を怠ると次のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 枝が絡まり、風通しが悪くなる
- 内側に日光が入らず、下葉が落ちる
- 古い枝ばかりになり、花が咲かなくなる
- アブラムシなどの害虫が増える
- 株元が木質化し、新芽が出にくくなる
特に、アーチやフェンス仕立ての場合は、枝が重なりすぎて形が乱れやすくなります。すると、せっかくのアーチがただの「枝のかたまり」になり、花の数も減ってしまうのです。
放置株を再生させるには?
元気がなくなったモッコウバラを再び花いっぱいにするためには、「強剪定」が欠かせません。強剪定とは、古くなった枝を根元から思い切って切り、新しい枝を伸ばすことで株を若返らせる方法です。
最初は「ここまで切って大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、モッコウバラは非常に生命力が強い植物です。適切な時期と手順で行えば、数か月で新しい枝が勢いよく伸びてきます。
再生のための強剪定とは
「強剪定(きょうせんてい)」とは、古い枝を思い切って切り戻し、株全体をリフレッシュさせる剪定のことです。形を整える軽い剪定とは違い、太い枝や老化した部分を中心に処理するのが特徴です。
強剪定に向いている時期
モッコウバラの強剪定を行うのに適しているのは、花が終わった初夏(5〜6月ごろ)で、
この時期に剪定すると、秋から冬にかけて新しい枝が伸び、翌春にたくさんの花をつけてくれます。
逆に、冬の剪定は避けましょう。
冬に強剪定すると、翌年の花芽まで切り落としてしまい、花が咲かない原因になります。
剪定前の準備
作業前に株の全体をよく観察して、どの枝を残すかを見極めましょう。
準備としては以下のような点をチェックしておくと安心です。
- 清潔でよく切れる剪定ばさみ・のこぎりを用意
- 切り口を保護する「癒合剤(ゆごうざい)」を準備
- 落とした枝をまとめるための袋やひもを用意
- 全体の形をイメージしながら、古枝と若枝を見分ける
切るべき枝の見分け方
強剪定では、「どこを切るか」が最も大切です。
以下のような枝を中心に整理しましょう。
- 枯れて茶色くなっている枝
- 葉がまばらで勢いのない枝
- 他の枝と絡み合っている枝
- 株元から複数伸びている古い太枝
切る位置は、健康な若枝の根元近くを目安にします。枝を全部切るのではなく、古い枝の3分の1〜半分ほどを残しておくと、株の負担が少なくなります。
剪定後の注意点
強剪定は株に大きなエネルギーを使わせます。作業後は以下のようなケアを心がけましょう。
- 切り口には癒合剤を塗って病気を予防
- 日当たりと風通しのよい場所に整える
- 新芽(シュート)が出てきたら折らないよう注意
モッコウバラは再生力がとても高く、強剪定をきっかけに新しい枝をぐんぐん伸ばします。最初の年は花が少なくても、翌年には見違えるように咲くことも多いです。焦らず、植物のペースに合わせて見守りましょう。
自分で難しい場合は業者に相談を
モッコウバラの強剪定は、自分でも取り組めますが、株が大きくなりすぎていたり、高い位置に枝が伸びている場合は無理をしないことが大切です。特にアーチの上部や塀を越えた枝を切るときは、脚立作業が必要となり、転倒やケガの危険があります。
また、太い枝を根元から切るときは、倒れる方向を誤ると他の植物や塀を傷つけるおそれがあります。そういった場合は、剪定や伐採を専門とする業者に依頼するのが安心です。プロであれば、株の状態を見て「どの枝を残せば翌年も花が咲くか」を判断してくれるため、形も自然で仕上がりが美しくなります。
もし剪定で切り取った枝がまだ青々としているなら、その枝を使って「挿し木」で増やすことも可能です。モッコウバラは発根しやすい品種のため、元気な枝を選べば比較的成功しやすいです。再生と増やす楽しみの両方を味わえるのが、モッコウバラの魅力です。
まとめ
モッコウバラは、生長が早くて生命力の強い植物です。放置すると枝が絡まり、花が少なくなってしまいますが、正しい時期に強剪定を行えば、見違えるほど元気を取り戻します。古枝を整理し、新しい枝を育てることで、翌年には再びアーチやフェンスいっぱいに花を咲かせてくれるでしょう。
強剪定は少し勇気のいる作業ですが、株の若返りには欠かせません。もし高所作業や太枝の処理に不安があるときは、専門業者に相談するのも安心です。無理をせず、できる範囲でゆっくりと整えていくことが長く楽しむコツです。
また、剪定で出た元気な枝を使えば、挿し木で新しい株を育てることもできます。手入れと再生、そして増やす喜びを味わいながら、自分らしい庭づくりを楽しんでみてください。