銀色がかった丸い葉と早春に咲く鮮やかな黄色の花が特徴のパールアカシアは、その愛らしい姿と育てやすさから、近年、庭木やシンボルツリーとして絶大な人気を誇っています。
この記事ではパールアカシアの剪定と管理について解説します。
花木の剪定時期一覧表はこちらの記事をどうぞ!

パールアカシアの剪定
パールアカシアは、オーストラリア原産のマメ科アカシア属の常緑高木で、比較的乾燥に強く、水はけの良い場所を好み、何よりも特筆すべきはその非常に早い生長スピードです。
植え付けからわずか数年で大きく育ち、あっという間に存在感のある樹木になることも珍しくありませんが、パールアカシアの特性を理解し、適切な時期に正しい方法で剪定を行うと樹形を美しく保ち、より多くの花を楽しめるようになります。
剪定しないとどうなる?
パールアカシアの剪定を怠ると、以下のような問題につながる可能性があります。
- 樹形が乱れ、木が弱る
- 病害虫のリスク増加
- 花の数が減る・花が小さくなる
このようにパールアカシアの剪定は単に見た目を整えるだけでなく、パールアカシアが元気に育ち、毎年その魅力を最大限に発揮してくれるための健康管理として欠かせない作業なのです。
パールアカシアの剪定時期
基本は花後すぐの春剪定
基本的に花が終わった直後(3月下旬〜5月頃)に行うのが最適で、この時期に剪定することで新しい枝の成長を促し、翌年の花芽の形成(夏〜秋)に間に合わせることができる上に、木の回復も早いので、樹形を整える最も理にかなったタイミングです。
軽い剪定なら夏もOK
本格的な春剪定の他に、夏にも軽度な剪定を行うことがあります。
主な目的は、樹形の微調整や、込み合った枝の軽い間引き、病害虫の早期発見・除去などで、特に徒長枝があれば、軽く切り詰めて樹形を整えることができますが、夏はパールアカシアが最も活発に活動している時期なので、大がかりな剪定は避けましょう。
強く剪定しすぎると、木が回復にエネルギーを使いすぎてしまい、樹勢を弱めたり、翌年の花芽形成に悪影響を与えたりする可能性がある為、あくまで軽く整える程度にしましょう。
剪定を避けるべき時期とその理由
パールアカシアの剪定には、絶対に避けるべき時期があります。
休眠期(冬:11月〜2月頃)
この時期に強く剪定すると、樹液の流出が大量になりやすく、木が弱ってしまい、回復に時間がかかることがあり、アカシア類は寒さにあまり強くないため、冬の剪定は切り口からのダメージが大きく、枯れ込む原因となります
新芽が伸び始めた時期(早春、花が咲く前)
花芽が形成される直前に剪定してしまうと、せっかく育ち始めた花芽を切り落とすことになり、その年の開花を諦めることになってしまいます
パールアカシアの剪定方法
ここでは、パールアカシアの樹形や成長の癖を踏まえた、正しい切り方と樹形を意識した剪定のコツを解説します。
パールアカシアの樹形と成長の癖
パールアカシアは、基本的に樹形が比較的整いやすい性質を持っていますが、その生長の早さゆえに、放っておくと枝が伸び放題になりやすい傾向があります。
特に、上にまっすぐ伸びる立ち枝や、混み合った内部の枝が増えやすいのが特徴でこれらの枝が密生すると、風通しや日当たりが悪くなり、木の健康を損ねやすくなります。
基本的な切り方と注意点
剪定を行う際は、以下のポイントを意識して切り進めましょう。
- 内向きに伸びる枝を根元から切る
- 重なっている枝を間引く
- 枯れた枝や病気の枝は早めに取り除く
- 樹冠を大きくしすぎないようにコンパクトに整える
- 切り口はきれいにスパッと切る
樹形を意識した剪定のコツ
パールアカシアの剪定は、単に不要な枝を切るだけでなく、将来どのような樹形にしたいかをイメージしながら行うことが大切です。
パールアカシアはもともと、比較的自然に美しい樹形を作る性質があるので、自然樹形を生かしつつ、透かし剪定で木の内部を重点的に剪定することで、風通しと日当たりを格段に改善すると病害虫の予防にもつながります。
最初は少なめに切り、時々離れて全体のバランスを確認しながら調整していくのがおすすめで、大胆に切りすぎると、回復に時間がかかったり、樹形が崩れたりするリスクがあります。
失敗しないための注意点
切りすぎは厳禁!
パールアカシアは比較的丈夫で生長が早い木ですが、過度な剪定は木に大きな負担を与え、回復に時間がかかったり、最悪の場合枯れてしまったりするリスクがあります。
特に、木質化した太い部分を強く切ると、そこから枯れ込んだり、回復が遅れたりするリスクが高まり、必要以上に切り詰めると幹や太い枝からひこばえや胴吹き枝と呼ばれる、勢いの良い細い枝が大量に発生して樹形を乱す原因となります。
また密集していた枝葉を一度に大量に切ると、今まで陰になっていた幹や太い枝に急に強い日光が当たって日焼けを起こし、健康を損ねる原因となります。
慣れないうちは「少し物足りないかな?」と感じる程度で止めることを意識し、毎年少しずつ手入れをして理想の樹形に近づけていきましょう。
癒合剤について
剪定後の切り口は、人間でいう傷口と同じで、そこから病原菌が侵入したり水分が蒸発して木が弱ったりするため、癒合剤で傷口を保護します。
特に、直径2cm以上の太い枝を切った場合は、すぐに切り口全体を覆うように薄く均一に塗布しましょう。
剪定以外の年間管理
水やりと施肥(せひ)
特に植え付け直後や、乾燥が続く時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、過剰な水やりは根腐れの原因となるため注意が必要です。
地植えの場合、根付いてしまえば基本的に自然降雨で十分ですが、夏場の乾燥期には様子を見て水やりをし、鉢植えの場合は、土の乾き具合をよく見て水を与えましょう。
肥料は植え付け時に元肥として与えるのも効果的ですが、春の開花後に緩効性の肥料を与えると翌年の花つきを良くし、健康な成長を促すことができます。
病害虫の発見と対策
パールアカシアは比較的病害虫に強い植物ですが、全くかからないわけではありません。
特に注意したい病害虫はアブラムシ、カイガラムシ、うどんこ病などで、異変に気づいたら早めに対処することが重要で、病気の場合は感染した枝を切り取り、害虫の場合は適切な薬剤を使用するか、手で取り除きましょう。
冬越し対策(寒冷地の場合)
パールアカシアは比較的寒さに強い方ですが、耐寒性はマイナス5℃程度なので、特に寒冷地や、植え付け後間もない若い木の場合は、冬の霜や北風から保護する必要があります。
株元をマルチングしたり、不織布で覆ったりする対策が有効で、鉢植えの場合は冬場は霜の当たらない場所に移動させるのが安心です。
まとめ
本記事では、パールアカシアの剪定について、その重要性から最適な時期、基本的な方法、注意点を解説しました。
- パールアカシアは、生長スピードが速い為毎年の剪定が不可欠です
- 剪定の最適な時期は、花が終わった直後の春(3月下旬〜5月頃)
- 透かし剪定で全体のバランスを見ながら、樹形を乱さないよう少しずつ切りましょう
この記事が、あなたの庭のパールアカシアがより美しく、健やかに育つための一助となれば幸いです。