

花木の剪定において特に重要なのは、花が咲き終わった直後に不要な枝を切り、翌年の花芽を守るために行う花後剪定です。
この作業は花付きの良さを左右するため、花木を育てている人にとって特に重要な作業です。
この記事ではよく庭に植えられている花木の剪定について解説します。
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花木の剪定について
剪定には主に以下の3種類があります。
- 整枝剪定:枝先を切って樹形を整える
- 間引き剪定:混み合った枝を根元から切り、風通しを良くする
- 花後剪定:開花直後、花芽が作られる前に剪定する
桜・藤・ライラックなどは花後剪定のタイミングがとてもシビアで、早すぎず遅すぎず、花が終わってから1〜2週間以内がベストとされています。
花木の剪定時期の一覧
剪定の時期は花木の種類によって大きく異なるので、開花時期や花芽の付き方を理解し、それぞれに適した剪定タイミングを選ぶことで、翌年も美しい花を咲かせることができます。
以下に、代表的な花木の剪定時期を一覧にまとめました。
花木 | 開花時期 | 剪定時期(目安) | 注意点 |
---|---|---|---|
ロウバイ | 1〜2月 | 花後(2〜3月) | 花芽が形成される前に剪定を終える |
ツバキ | 12〜3月 | 花後(3〜4月) | 夏前までに剪定しないと翌年の花芽を切る恐れがあり |
サザンカ | 10〜12月 | 花後(1〜3月) | 花後の早めの剪定でコンパクトに維持 |
ウメ | 2〜3月 | 花後(3〜4月) | 花後すぐに剪定 |
桜 | 3〜4月 | 花後(4〜5月) | 強剪定は避け、軽く整枝程度に |
モクレン | 3〜4月 | 花後(4〜5月) | 花が終わったら早めに分岐部で切る |
ハナミズキ | 4〜5月 | 花後(5〜6月) | 夏前に剪定を終え、花芽形成を妨げない |
ライラック | 4〜5月 | 花後(5〜6月) | 花芽が形成される7月までに剪定を終えるようにする |
藤 | 5月 | 花後(5〜6月)+夏整枝 | 花後に剪定、夏は徒長枝を整理 |
アジサイ | 6〜7月 | 花後(7〜8月) | 剪定が遅れると翌年の花芽を切るリスクが高い |
ムクゲ | 7〜9月 | 冬〜早春(12〜2月) | 新枝咲きで、強剪定が可能 |
トキワマンサク | 3〜4月 | 花後(4〜5月) | 自然樹形を保つ場合は軽剪定、生垣は刈り込み可 |
キンモクセイ | 9〜10月 | 花後(10〜11月)or春先 | 丸く刈り込み可能。春の新芽に備えた軽剪定も有効 |
モミジ | 11月(紅葉) | 冬〜早春(12〜2月) | 冬に剪定 |
パールアカシア | 3〜4月 | 花後〜春先(3〜4月) | 風通しを重視して剪定 |
ルクリア | 10〜12月 | 花後〜春先(3〜4月) | 新枝咲きなので春の剪定で次の開花を促す |
ツツジ | 4〜5月 | 花後(5〜6月) | 花後すぐの軽剪定が最適 |
ドウダンツツジ | 4〜5月 | 花後(5〜6月) | 自然樹形を活かす軽剪定が基本、生垣は花後と夏前に形を整える |
種類別の詳しい記事はこちら
ツバキ・サザンカ

桜

モクレン・ハナミズキ

藤

アジサイ・ロウバイ

サルスベリ・ムクゲ

キンモクセイ・トキワマンサク

モミジ

パールアカシア

ルクリア・ライラック

ツツジ・ドウダンツツジ

花後剪定のタイミングとコツ
花後剪定の目的は、来年の花芽を守りながら不要な枝を整理して風通しを良くすることなので、特に花芽が前年枝につく花木では、剪定の時期を間違えると花芽を切ってしまい、翌年花が咲かなくなるリスクがあります。
新枝咲き(その年に伸びた枝に花が咲くもの)

例:ムクゲ、ルクリア、パールアカシア、トキワマンサク、モミジ
新枝咲きの花木は、春以降に伸びた新しい枝に花芽をつけて開花します。そのため、冬〜春先の剪定で古い枝を切っても開花に影響しにくく、剪定の自由度が高いのが特徴です。
旧枝咲き(前年以前に伸びた枝に花が咲くもの)
例: ロウバイ、キンモクセイ、藤、桜、ハナミズキ、モクレン、ライラック、ツツジ、ドウダンツツジ
旧枝咲きの花木は、前年の夏〜秋にできた花芽が翌春以降に咲くタイプで、剪定が遅れると花芽ごと切ってしまうため、花後すぐの剪定が必須です。
実際に剪定を行う前に、いつ頃どのように花芽が形成されるのかを理解した上で、以下のポイントを押さえて行いましょう。
- 花が完全に咲き終わった直後(1〜2週間以内)に剪定
- 天気の良い乾燥した日に作業し、切り口が早く乾くようにする
- 株全体の1/3以内のボリュームで剪定する
古い枝を根元から切り落とすことで新枝の更新を促し、混み合った枝や交差枝を間引くことで風通しが良くなり病害虫予防になります。
雨の日の剪定は病気の原因になるため避けましょう。また、新芽や花芽が見えにくい時期には、誤って切ってしまわないように慎重に作業することが大切です。
花芽の見分け方
剪定の失敗で最も多いのが花芽を切ってしまうことで、花芽と葉芽の見分け方を知っておくことで、不要な剪定ミスを防げます。
花芽と葉芽の特徴
芽の種類 | 形状 | 大きさ | 位置の傾向 |
---|---|---|---|
花芽 | 丸くふくらみがあり大きい | ふっくら大きめ | 枝先・枝の外側によくつく |
葉芽 | 細長く尖って小さい | 小さめ | 芽の内側・根元に多い |
見分けるポイントは以下の通りです。
- 丸くて膨らんだ芽=花芽:花を咲かせる準備が進んでいる証拠
- 先が尖って細い芽=葉芽:葉や枝に成長する
- 同じ節に2つの芽がある場合、外側が花芽、内側が葉芽であることが多い
冬〜春先は芽がまだ硬く、判断が難しいこともあるので、迷ったときは剪定を控えるか、軽く整える程度にしておいた方がよいでしょう。

剪定の失敗例と対処法
多くのトラブルは事前に知っておけば回避可能なため、ここでは代表的なミスとその対処法を紹介します。
よくある剪定の失敗と対策
花芽を切ってしまい、翌年に花が咲かない
原因:剪定時期が遅く、花芽形成後に切ってしまった
対策:花後すぐ(1〜2週間以内)に剪定を終える
剪定しすぎて株が弱る
原因:株の半分以上を一気に切ってしまった
対策:1回の剪定は全体の1/3以内が基本、数年かけて整える
雨の日に剪定して病気が発生
原因:切り口が乾きにくく、菌が侵入しやすい
対策:晴れた日を選び、切り口には癒合剤を塗布
切る位置が悪く、新芽が出にくい
原因:節を無視して中途半端な位置で切った
対策:芽の上2〜3mmの位置で斜めにカットし、水はけをよくする
どこを切ればよいか分からず放置してしまう
対策:一覧表を参考に、小枝1本でも切ることから始めましょう
花木の剪定|まとめ
花木を美しく咲かせるための正しい剪定の時期と花芽の見分け方について解説しました。
- 花後剪定は花芽ができる前の開花後1〜2週間以内がベスト
- 花芽は丸くて大きめ/葉芽は細くて尖っているのが特徴
- 雨天を避け、晴天・乾燥時に作業することが失敗を防ぐコツ
この記事が、あなたの庭の花木のお手入れに役立てば幸いです!