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ルリマツリを庭に植えてはいけない理由|地植えで失敗しやすいポイントとは

アイキャッチルリマツリ植えてはいけない

淡い青色の花が涼しげで人気のルリマツリ。庭に植えたらきっと素敵だろうと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に地植えしてみると「思ったより広がる」「冬に枯れてしまった」といった声もよく聞かれます。

この記事では、ルリマツリを庭に植える際の注意点や、鉢植えでの安全な育て方をわかりやすく解説します。

ルリマツリとはどんな植物?特徴と魅力を知る

ルリマツリ

鮮やかな空色の花を長く楽しめるルリマツリは、南アフリカ原産の常緑低木です。暑さに強く、春から秋にかけて次々と花を咲かせます。その姿がさわやかで、ガーデニング初心者にも人気の高い花です。

ルリマツリの基本データ

・分類:イソマツ科ルリマツリ属(プルンバゴ属)
・原産地:南アフリカ
・開花時期:初夏から秋
・耐寒性:やや弱い(霜や寒風に注意)
・耐暑性:強い

日本では主に鉢植えやフェンス沿いのグランドカバーとして利用されます。つる状に枝を伸ばす性質があり、支柱やネットを使って仕立てると見応えのある姿になります。

魅力と人気の理由

ルリマツリが人気なのは、その花色と手軽さです。真夏の強い日差しにも負けず咲き続け、剪定をすれば何度でも花を楽しめます。また、病害虫にも比較的強く、初心者でも挑戦しやすい植物です。

ただし、南アフリカ原産ゆえに寒さに弱く、冬越しで失敗するケースが多いのが注意点です。次の章では、その「植えてはいけない」といわれる理由を詳しく見ていきます。

ルリマツリを庭に植えてはいけないといわれる理由

見た目の美しさとは裏腹に、ルリマツリを庭に植えると後悔してしまうこともあります。特に地植えでは管理が難しく、トラブルが起こりやすいのです。

理由① 寒さに弱く冬越しが難しい

ルリマツリは寒さに非常に弱く、霜に当たると葉が黒く変色し、そのまま枯れてしまうことがあります。地植えにすると根が凍るおそれがあり、冬を越せずに翌春芽吹かないことも珍しくありません。関東以北では屋外での冬越しはほぼ不可能といわれます。

理由② 成長が早く、広がりすぎる

ルリマツリはつる性で成長が早く、放っておくとどんどん横に広がっていきます。庭の他の植物を覆ってしまったり、フェンスや隣家の境界まで侵入することもあるため注意が必要です。剪定をこまめに行わないと、手に負えなくなるケースもあります。

理由③ 根の張りが強く、掘り返しにくい

地植えにすると根が地中深くまで張り、後から抜こうとしても簡単には抜けません。寒さで枯れても根が残り、再び芽を出すこともあります。植え替えや撤去が大変になる点も「植えてはいけない」といわれる理由のひとつです。

地植えで起こりやすいトラブルと対処法

ルリマツリを地植えにすると、成長の勢いが強く一時的には見栄えが良いものの、季節が変わるとさまざまなトラブルが発生します。ここでは特に多い「枯れ込み」「広がりすぎ」「剪定の失敗」について、より詳しく見ていきます。

トラブル① 枯れ込みや葉焼け

植え付けたばかりのルリマツリは、まだ根が十分に張っておらず、水分の吸収が安定しません。そのため、真夏の強い直射日光を受けると葉が焼けてしまうことがあります。
また、乾燥しすぎると枝の先から茶色く枯れ込むことも。こうした場合は、午前中だけ日が当たる半日陰に移植するか、遮光ネットを使って光を和らげましょう。

トラブル② 冬に枯れてしまう

ルリマツリは霜や冷風に当たると一気に弱ります。特に地植えでは根が凍る危険があり、冬を越せないことが多いです。関東以北では屋外管理は厳しいと考えましょう。
どうしても庭で育てたい場合は、根元に腐葉土を厚く敷き詰め、株全体を不織布で覆って保温します。それでも寒波の年は耐えられないこともあり、その場合は翌春に挿し木で再生を試みるのが現実的です。

トラブル③ 庭全体に広がる

ルリマツリは生育が旺盛で、気づくと他の植物を覆い尽くしてしまうことがあります。つるが地面をはって広がるため、こまめな剪定が欠かせません。

トラブル④ 根の処理が難しい

地植えの場合、根が広く張るため、植え替えや撤去の際に掘り起こしが大変です。特に数年経った株は、スコップでは掘り切れないほど根が固くなることもあります。
一部の根を残すと再び芽吹くこともあるため、完全に処理したい場合は、根をできるだけ深くまで掘り取り、乾燥させてから廃棄します。

ルリマツリ剪定の時期と方法

地植えのルリマツリを健康に保つためには、年に二回の剪定が効果的です。

  1. 初夏の軽剪定(六月ごろ)
     春から伸びた枝を三分の一ほど切り戻します。これにより風通しが良くなり、蒸れによる病気を防げます。また、花芽が多くつくため、次の開花が長く楽しめます。

  2. 秋の強剪定(十月ごろ)
     秋の終わりには思い切って株を半分ほどの高さに切り詰めましょう。寒さに備え、無駄な枝を減らすことで冬越しがしやすくなります。枯れた枝や絡まったつるもこの時期に整理します。

剪定後は、切り口からの水分蒸発を防ぐため、晴天が続く日に作業するのがおすすめです。切りすぎても春には新芽が出やすいため、心配はいりません。

このように、地植えでは「剪定」と「冬越し」が最大の課題です。逆に言えば、この二点をきちんと押さえることで、ルリマツリの美しさを長く保つことができます。

ただし、広がりやすさや根の強さから撤去に苦労するケースもあるため、初めて育てる場合は鉢植えから始めるのが安心です。

鉢植えで安全に育てる方法と長持ちのコツ

寒さに弱いルリマツリを長く楽しむには、やはり鉢植えが最適です。移動しやすく、天候や気温に応じて環境を調整できるため、初心者でも失敗が少ない育て方です。ここでは鉢植え管理の基本と、さらに丈夫に育てるための土や植え替えのポイントを詳しく説明します。

鉢植えに向く理由

ルリマツリは根の成長が早く、地植えだとすぐに広がってしまいますが、鉢植えにすることで成長をコントロールしやすくなります。また、気温が下がったら屋内へ移動するだけで冬越しが可能なので、寒冷地でも安心です。

鉢植えで使う土と植え替えの手順

用土の選び方

ルリマツリは水はけの良い土を好みます。市販の草花用培養土に、軽石やパーライトを二割ほど混ぜると、余分な水分が抜けやすくなります。自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)六割、腐葉土三割、軽石一割が目安です。

植え付け時期

気温が安定して暖かくなる春(四月から五月ごろ)が最適です。根鉢を軽く崩して古い土を落とし、新しい用土に植え替えます。

鉢の選び方

ルリマツリは根の張りが強いので、最初から少し大きめの鉢を使うと安心です。鉢底石をしっかり敷き、排水性を確保します。

植え替えの頻度

二年に一度を目安に行うと、根詰まりを防げます。植え替えの際は、根のまわりの古い土を三分の一ほど落とし、傷んだ根を切り取ってから新しい土に植えます。

肥料と水やりのコツ

肥料

春から秋の成長期に、二週間に一度ほど液体肥料を与えると花つきが良くなります。冬は休眠期なので肥料は不要です。

水やり

表土が乾いたらたっぷりと与え、受け皿にたまった水は必ず捨てましょう。過湿になると根腐れを起こします。

剪定で形を整える

鉢植えのルリマツリは、枝が伸びすぎると倒れやすくなります。花が終わったあとに枝先を二節ほど切り戻すと、次の花が咲きやすくなり、コンパクトにまとまります。
また、全体のバランスを見ながら内向きの枝や重なった枝を間引くことで、風通しがよくなり病気の予防にもつながります。

冬越しの準備

寒くなる前(十一月頃)には、屋内の明るい窓辺や温室に移動させます。日中は日光に当て、夜は冷気を避けましょう。
屋外で管理する場合は、鉢をレンガや台の上に置き、冷えた地面と直接触れないようにします。さらに、不織布や新聞紙で鉢全体を包むと保温効果が高まります。

このように、鉢植えにすることでルリマツリはぐっと扱いやすくなります。手入れの基本を押さえておけば、毎年鮮やかな花を咲かせてくれるでしょう。

まとめ:ルリマツリを上手に楽しむために

ルリマツリは、その涼しげな青い花と丈夫な性質から、つい庭に植えたくなる魅力的な植物です。しかし、実際には寒さに弱く、地植えでは冬越しや管理が難しいという側面もあります。

ルリマツリを楽しむためのポイント

  • 寒冷地では「鉢植え」で育てるのが安全
  • 冬は屋内に取り込んで寒さ対策をする
  • 剪定をこまめに行い、形を整える
  • 枯れた場合は根が残らないよう早めに処理する

これらを守ることで、ルリマツリは長く花を咲かせ、毎年あなたの庭を彩ってくれる存在になります。

どうしても地植えしたい場合

暖かい地域であれば、霜が降りない場所や軒下を選べば地植えも可能です。その際は、株元の防寒対策を徹底し、冬前に剪定して風通しを良くしておくと、春の芽吹きがスムーズになります。

ルリマツリは少し気難しい部分もありますが、ポイントを押さえれば決して扱いにくい植物ではありません。環境に合った育て方を選び、四季を通してその美しさを楽しんでください。