花木の剪定

サルスベリ・ムクゲの剪定ガイド|失敗しない時期・方法

サルスベリ・ムクゲ剪定
midori
midori
サルスベリとムクゲってどっちも鮮やかでいいよね~
itsuki
itsuki
成長が早いからちゃんと剪定しないと大きくなってしまうんだよ

サルスベリとムクゲは、夏の庭を鮮やかに彩る人気の花木ですが、生育が旺盛なので剪定を怠ると樹形が乱れて花が咲かなくなったり、病気や害虫の被害を受けやすくなったりします。

本記事では、サルスベリとムクゲの剪定について、その重要性から時期・具体的な方法、そしてよくある失敗とその対策まで解説します。

花木の剪定時期一覧表はこちらの記事をどうぞ!

花木の剪定とは?基本の考え方と花後剪定のやり方

サルスベリ(百日紅)の剪定

サルスベリ

サルスベリは、夏に鮮やかな花を咲かせ、幹の樹皮が滑らかに剥がれる特徴を持つ落葉高木で、その年に伸びた新しい枝(一年枝)に花芽をつけるため、主に夏と冬の年2回剪定を実施すると毎年豊かな開花を楽しめます。

サルスベリは夏と冬の年2回剪定が基本

剪定作業を開始する前に、まずは枯れてしまった葉や枝を丁寧に取り除いた後、樹形を乱す不要な枝(逆さ枝やひこばえなど)を根元からしっかりと切り落としていきます。

夏剪定(8月上旬頃、花が咲き始めたタイミング)

この時期に剪定を行う主な目的は、開花を促進し、栄養が花以外に分散するのを防ぐことにあり、放置すると栄養が分散して小さな花が多く咲く傾向にあります。

夏剪定で、花が咲き終わった一年枝の2~3節目を切り戻すと先から新しい枝が伸びて再び花を咲かせ、年に2度の開花を楽しむことができます。

全体のバランスを考慮しながら枝を間引くことで、株全体の日当たりや風通しが改善され、病害虫の発生予防にもなります。

冬剪定(休眠期に入る12月~3月頃)

この時期の剪定は、樹形を小さく整えたり、木の成長を抑制したりすることを目的としており、寒さの厳しい地域では剪定後の切り口から枯れ込みが生じるリスクがあるので、3月頃に剪定を行う方が良いでしょう。

冬剪定では、まず木の下側から剪定を始め、少し離れた場所から全体像を確認し、枝が密集している箇所や絡まっている箇所を見つけたら、その中から細い枝を選んで剪定し、樹形を整えていきます。

剪定時期が遅すぎると、花芽が形成された後に枝を切ってしまうことになり、その年の花数が減少する原因となります。

「外芽」の上で切ることを意識する

サルスベリの枝には外芽と内芽が存在し、内芽を残すと枝が不自然な方向に伸びてしまう傾向にあるので、芽を傷つけないよう、外芽よりも5~10mm程度上の位置に鋏を入れ、芽の成長方向に沿って切るのが適切な方法です 。

サルスベリ剪定でよくある失敗と対策

コブの発生

毎年同じ位置で剪定を繰り返すと、枝の切り口がコブ状に盛り上がってしまうことがあり、このコブからは新しい枝が伸びにくく花付きが悪くなる原因となります。

このようなコブができてしまった場合は、コブのすぐ下で枝を強く切り戻すことで、新しい枝の発生を促し、翌年以降はコブがあった位置よりも上で切り戻すようにすると再び大きな花を咲かせられるようになります。

樹勢の乱れや枯れ込み

サルスベリを極端に低く剪定しすぎると、木は本来の高さに戻ろうとして頭頂部の枝を勢いよく伸ばし、樹形が乱れることがあり、枝葉と根のバランスが急激に崩れることで、木が著しく弱り、徐々に枯れや幹焼け(樹皮のひび割れ)が進行することもあります。

木を低くしたい場合は、一度に大幅に切り落とすのではなく、肥料や水やりで樹勢を回復させながら、時間をかけて段階的に剪定することが理想的です。

剪定後のケア

剪定直後のサルスベリは、一時的にストレスを受けている状態にあるので、直射日光を避け、明るい場所に置くことで植物の負担を軽減できます。

水やりは土壌が過湿にならないよう注意しつつ、土の表面が乾いたらたっぷりと与え、さらにバランスの取れた緩効性肥料を与えることも効果的です。

カイガラムシやスス病への対処

サルスベリでは、秋頃にカイガラムシが大量に発生し、その排泄物によってスス病を併発することがよくあるので早期発見と早期対処が非常に重要です。

 ムクゲ(槿)の剪定

ムクゲ

ムクゲは、夏に毎日次々と咲く大輪の花が魅力的な花木ですが、その成長力ゆえに、適切な剪定を行わないと枝が茂りすぎて樹形が乱れ、風通しが悪化して病害虫が発生しやすくなります。

ムクゲの剪定時期と方法

ムクゲの剪定に最も適した時期は、落葉後の休眠期にあたる11月から翌年の3月にかけてで、枝の全体像を把握しやすく、木が休眠状態にあるので剪定による植物へのダメージを最小限に抑えることができます。

ムクゲは夏に開花しますが、その花芽は直前の春に、その年に新しく伸びた枝の先端に形成されるので、花付きを優先する場合は、花芽が形成される前の5月上旬頃までに剪定を完了させる必要があります。

もし6月や7月に剪定を行ってしまうと、せっかく形成された花芽を切り落とすことになり、その年の花数が大幅に減少してしまうため、この時期の強剪定は避けるべきです 。

夏の生育期にムクゲの樹高が著しく高くなったとしても、この時期に大きく枝を切る「強剪定」を行うことは、木に大きなダメージを与えてしまうため、剪定は必ず落葉後の休眠期まで待ちましょう

ムクゲの剪定方法

ムクゲの剪定には「強剪定」と「軽剪定(透かし剪定)」の二つの方法があります。

軽剪定・透かし剪定

まず木の全体を観察し、枝や葉が過度に込み合っている部分を見つけて不要な枝を根元や基部から切り取り、これにより株全体の風通しと日当たりが改善され、病害虫の発生を効果的に予防できます。

ムクゲをよりコンパクトな樹形に保ちたい場合は、12月~3月の剪定でその年に新しく伸びた枝を前年の枝の付け根近くまで切り戻すことで、そこから新たに枝が伸びて翌年には再び花芽をつけます。

強剪定

木の休眠期である11月~2月が最適とされ、木への負担も最小限に抑えられますが、太い枝を切った場合、切り口には必ず癒合剤を塗布して保護しましょう。

ムクゲの剪定でよくある失敗と対策

剪定時期の誤りによる花数の減少

ムクゲはその年に伸びた枝の先端に花芽をつけるので、花芽が形成される時期(春)や開花期に枝を剪定してしまうと花芽を切り落とすことになり、その年の花が咲かなくなる原因となります。

花を確実に楽しむためには、花芽形成前の5月上旬頃までに剪定を終えましょう。

切り口の処理不足による病害虫のリスク

強剪定などで太い枝を切った後、切り口に癒合剤を塗布しないと、切り口から病原菌が侵入したり、害虫が引き寄せられたりして株が弱る原因となります。

特に生育旺盛なムクゲは切り口から樹液が出やすい性質があるため、癒合剤で適切に保護しましょう。

剪定後のケア

ムクゲは水はけの良い土壌を好む一方で、乾燥には弱いため、鉢植えよりも庭植えの方が管理しやすい傾向にあり、日なたを好みます。

土壌の肥沃度が不足していると感じる場合は、春先に緩効性カリウム肥料を施し、さらに、マルチング(敷き藁やバークチップなどで土の表面を覆うこと)は土壌の水分を保持し、特に気候が変動する際に土壌温度を安定させるのに役立ちます。

まとめ

本記事では、夏の庭を鮮やかに彩るサルスベリとムクゲを健康に保ち、美しい花を毎年楽しむための剪定方法について詳しく解説しました。

サルスベリ・ムクゲの剪定まとめ
  • サルスベリの剪定は、花付きを良くする夏剪定と樹形を整える冬剪定を行いましょう
  • ムクゲの最適な剪定時期は落葉後の11月~3月ですが、花芽形成前の5月上旬頃までに剪定を終えましょう
  • ムクゲの太い枝を切った際には、切り口からの病原菌侵入や害虫予防のため、必ず癒合剤を塗布しましょう

この記事がサルスベリとムクゲの剪定に役立てば幸いです!