庭のグランドカバーとして人気のあるタマリュウ。しかし「手入れが簡単そう」「広がって便利」と思って安易に植えると、あとで大きく後悔するケースも少なくありません。
この記事では、そんなタマリュウを庭に植えてはいけない理由や、実際のトラブル事例、代替案まで詳しく解説します。後悔しない庭づくりのために、ぜひ参考にしてください。
タマリュウは手間がかからないグランドカバー?
タマリュウ(玉竜)はユリ科の多年草で、見た目は芝生のように細長い葉が特徴です。主に地面を覆う「グランドカバー」として、庭や通路、花壇の縁取りなどに利用されます。常緑で一年中緑を保つうえ、比較的丈夫なため「植えておけば手間いらず」と考える方も少なくありません。
実際、草丈も10〜15cmほどと低く、芝生のように頻繁に刈り込む必要がないことから、見た目の美しさと管理のしやすさの両方を求めてタマリュウを導入する家庭も多いです。しかし、そうしたメリットの裏に、後から困るようなデメリットが潜んでいるのも事実です。
「見た目重視で植えたけど、思っていたより手がかかる」「一度植えたら増えすぎて止まらない」といった声もあり、植栽の選択を間違えると庭全体のバランスが崩れてしまうことも。タマリュウを検討している方は、これから紹介する注意点をぜひ参考にしてください。
庭に植えてはいけない理由
理由1:繁殖力が強すぎてコントロールが難しい
タマリュウは地中を這うように根を広げ、知らないうちに庭のあちこちに広がっていきます。この繁殖力こそが、庭づくりにおいて大きな問題になるケースが少なくありません。
特に問題になるのは、「他の植物のスペースまで侵食してしまう」点です。タマリュウは地下茎で横に広がるため、意図せず花壇や植栽の間に入り込み、抜いてもまた生えてくるというループに陥りやすいのです。密集して育つため、他の植物の根元に入り込むと通気性が悪くなり、根腐れを起こすこともあります。
また、放っておくと雑草のように庭全体に蔓延し、景観を乱す原因にもなります。防草シートや縁石などでエリアを区切っていても、タマリュウの根は意外としたたかで、隙間から入り込んでしまうことも。
最初は「グランドカバーとしてちょうどいい」と思っていても、数年後には「取り返しのつかない状態」になることもあるため、慎重に検討する必要があります。
理由2:見た目が悪化する失敗事例も
タマリュウは「整った緑の絨毯」を想像して植える方が多いですが、実際には見た目の管理が意外と難しい植物です。うまく育たなかったり、隙間が空いてムラになったりすると、むしろ雑然とした印象を与えてしまいます。
とくにありがちなのが、部分的に枯れてしまうケースです。踏みつけや日照不足、風通しの悪さなどが重なると、一部が黄色く変色し、庭全体の印象が一気に悪くなります。こうした状態になると、「むしろ植えないほうがましだった」と感じることもあります。
また、植えた直後は整っていても、時間が経つとタマリュウ同士が密集しすぎて、こんもりと不自然な盛り上がりが発生することも。そこに雑草が混じると、手入れしにくく見た目も悪化しがちです。
「庭に緑を足したい」「見た目を整えたい」と思って植えたのに、数年後には逆に手間のかかる景観になってしまう──そんな事例が実際に多数あります。見た目を優先したつもりが、思わぬストレスの原因になることもあるのです。
理由3:刈り込みや手入れに意外と手間がかかる
「タマリュウは手入れが楽」とよく言われますが、これは正確な表現ではありません。実際には、放置すると美観が損なわれるうえ、刈り込みなどのメンテナンスも必要になる植物です。
とくに問題になるのが、長期間伸びっぱなしにしておくこと。タマリュウの葉は細長く立ち上がるように伸びていきますが、密生していると先端が倒れ込んで絡まり、もさもさとした印象の悪い見た目になります。そのため、定期的に刈り込みを行わないと、清潔感のある庭とはほど遠い状態に。
また、古くなった葉や枯れた葉が根元に溜まることで、蒸れて病害虫が発生することもあります。風通しを確保するためにも、間引きや刈り戻しなどの作業が定期的に必要になるのです。
さらに、タマリュウの間に生えた雑草の処理が厄介です。地表をびっしり覆っているため、雑草を見つけづらく、根元に手を入れるのが難しいという声も多く聞かれます。
手軽に見えて、実は「放っておけないタイプの植物」なのがタマリュウの現実です。
他にもある!これだけは庭に植えてはいけない花草・木の例
タマリュウのように、一見便利そうでも後悔する植物は他にもあります。ここでは、「これだけは庭に植えてはいけない」と言われることが多い花や草木をいくつかご紹介します。
1. ミント
可愛らしい見た目と香りから人気ですが、繁殖力が非常に強く、地下茎でどんどん広がるため、あっという間に庭を支配します。隔離して育てないと手に負えなくなることも。
2. ヤブラン
タマリュウと同じくグランドカバーとして使われますが、放っておくと密集しすぎて他の植物を圧迫します。種で勝手に増えることもあり、管理が大変です。
3. ススキ・チガヤ
風情のある見た目から人気がありますが、根が深くて除去が困難。一度根づくと除草剤でも効きにくいケースがあります。
4. ヒメイワダレソウ
こちらもグランドカバーとしてよく使われますが、勢いよく広がりすぎて、近隣の庭にまで侵入する恐れがあります。自治体によってはトラブル事例も報告されています。
5. ハナズオウ・モクレンなどの大木
狭い庭に植えると、数年後に剪定が追いつかなくなり、伐採せざるを得なくなることも。成長スピードや最終的なサイズを事前に調べることが重要です。
こうした植物を安易に選んでしまうと、景観が乱れるだけでなく、手入れ・剪定のコストも大幅に増えることになります。植物選びは、見た目や流行だけでなく、将来の管理のしやすさも必ず考慮するようにしましょう。
タマリュウの代わりにおすすめのグランドカバー植物
タマリュウは扱いが難しい面もありますが、グランドカバーとして庭をきれいに保ちたいというニーズは多くあります。そこで、タマリュウの代わりに使える、管理しやすいおすすめ植物をいくつか紹介します。
管理しやすいおすすめ植物5選
育てやすさや手入れのしやすさを基におすすめを5つ選びました。
1. クラピア
芝生の代わりとして注目されているグランドカバーです。成長が早く、踏圧にも強いのが特徴。開花期には小さな花も楽しめます。ただし、広がる力があるため最初にしっかりと区画を決めることが重要です。
2. ダイカンドラ(ダイカンドラ・エメラルド)
丸みのある小さな葉がかわいらしく、ナチュラルな雰囲気を出したい庭にぴったり。乾燥にも比較的強く、芝生のように刈り込む必要もほとんどありません。
3. リシマキア・ヌンムラリア
明るい黄緑色の葉が特徴的で、日陰にも強く、雑草を抑える力があるため、手入れが少なくて済みます。あまり踏まれる場所には向きませんが、花壇の縁取りなどに最適です。
4. セダム類(マンネングサ)
多肉質の葉をもつグランドカバー。暑さ・乾燥に非常に強く、日当たりの良い場所におすすめです。色や形のバリエーションも豊富なので、個性的な庭づくりが可能です。
5. イワダレソウ(改良品種)
従来のイワダレソウは繁殖力が強すぎる点がネックでしたが、最近は制御しやすい品種も開発されています。芝生のように密生し、美観を維持しやすいのが魅力です。
これらの植物は、タマリュウよりも管理しやすく、トラブルも少ない傾向があります。庭の条件(日当たり・踏圧・湿度など)を考慮しながら、自分に合ったグランドカバーを選びましょう。
タマリュウを処分したい場合の対処法
すでにタマリュウを植えてしまい、「思ったよりも増えすぎた」「見た目が悪くなった」「他の植物に影響している」と感じている方も多いのではないでしょうか。そうした場合、部分的な処分や全面的な撤去が必要になることもあります。
まず、自分で処理する場合は、スコップを使って根ごと掘り起こすのが基本です。ただし、タマリュウは地下茎が深く、細かく広がっているため、完全に取り除くのは簡単ではありません。取り残しがあると、またそこから再生してしまいます。
加えて、土壌が固い場所や面積が広い庭では、肉体的にも大きな負担となります。一度で取り切れず、何度も除去作業を繰り返すことになるケースも少なくありません。
そんなときは、庭木の剪定や伐採に対応している業者に依頼するのも有効な選択肢です。専門の道具や除去ノウハウを持っているため、短時間で確実にタマリュウを除去してくれます。また、他の不要な植栽の剪定や整理と合わせて依頼すれば、庭全体をリフレッシュするチャンスにもなります。
自分で手に負えないと感じたら、無理をせずプロの力を借りることを検討しましょう。結果的に、時間も体力も節約でき、庭の美観も早く回復できます。
まとめ|タマリュウを植える前に
タマリュウは見た目の美しさや手入れの簡単さから人気のあるグランドカバーですが、繁殖力の強さや手入れの手間、景観の乱れといった想定外のデメリットも多く含んでいます。
植える前には以下の点をしっかり確認しておくことが大切です。
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タマリュウは地下茎で広がるため、放っておくと庭を覆い尽くす可能性がある
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部分的に枯れると景観が乱れ、逆に管理の負担が増える
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見た目を保つには定期的な刈り込みや間引きが必要
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雑草との区別がつきにくく、手入れに時間がかかる
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処分が大変な場合は剪定・伐採業者への依頼も検討すべき
「これだけは庭に植えてはいけない」と言われる理由には、それだけの根拠があります。美しい庭を保つには、手間と効果のバランスが取れた植物選びが大切です。
すでにタマリュウでお困りの方や、これから庭づくりを始める方は、無理せずプロの力を借りる選択肢も視野に入れて、快適で美しい庭を維持しましょう。