シラン(紫蘭)は和風の庭や下草として人気の多年草ですが、実際に育ててみると「こんなはずじゃなかった…」と後悔する人も少なくありません。
増えすぎて他の植物を圧迫したり、思わぬ病気で見栄えが悪くなったり、想定外のトラブルに悩まされることも。この記事では、シランを「植えてはいけない」と言われる理由や、後悔しないための管理・対処法、そして剪定・伐採を業者に頼むという選択肢についても詳しく解説します。
シランとはどんな植物?庭に植えられる理由と注意点

シラン(紫蘭)は、ラン科の多年草で、日本や中国など東アジアに自生する植物です。美しい紫や白の花を春から初夏にかけて咲かせ、日陰にも強く、手間もかからないことから庭の下草や花壇の縁取りに好まれています。
特に庭木の根元など日陰になりやすい場所にも強いため、「日陰で咲く丈夫な花」として定番の一つです。また、地下茎で増えるため、一度植えると毎年花を咲かせてくれる点も人気の理由です。
しかしこの「手間がかからない」「よく増える」といった特性が、裏を返せば管理不足や放置による問題を招く原因になることもあります。シランは放っておくと地下茎で広がり、他の植物を圧迫してしまうことがあり、それが「植えてはいけない」と言われるゆえんでもあります。
一見すると手軽な草花ですが、きちんとした知識をもって植えないと、後で後悔することになるかもしれません。
シランを植えてはいけない理由
シランは見た目の美しさや丈夫さから人気がありますが、管理を怠ると厄介な存在になることもあります。ここでは、シランを「植えてはいけない」と言われる主な理由を紹介します。
地下茎でどんどん広がる
シランは地下茎を伸ばして増殖するため、放置していると想像以上のスピードで広がります。特に他の植物と混植していると、シランが周囲の植物の生育スペースを奪ってしまうこともあります。雑草のようにあちこちから芽が出て、気づけば庭全体を覆っているケースも珍しくありません。
一度増えると処分が大変
地下茎は地中深くまで入り込むこともあり、手作業での完全な除去は困難です。株を掘り上げても根が残ればまた生えてくるため、何度も処理が必要になります。繁殖力の強さが、かえって「厄介な草花」とされる要因です。
見た目が乱れることもある
葉が黄ばんだり、花がうまく咲かず白く変色したりすることがあります。これは育成環境や病気、栄養不足などが原因とされます。庭の一角にシランが集まって生えていると、こうしたトラブルで景観が損なわれてしまうこともあります。
他の植物の成長を妨げる
日陰に強いとはいえ、地下茎の広がりは他の植物の根にも悪影響を与えます。とくに浅根性の植物と隣接していると、シランが養分や水分を奪い、生育不良の原因になることもあります。
このように、シランは「育てやすい」反面、「増えすぎて困る」リスクを持つ植物です。次の章では、こうしたトラブルが起きたときの具体的な対処法を解説していきます。
シランのトラブル事例と対処法
シランは丈夫で育てやすい植物ではありますが、実際に育てているといくつかのトラブルに直面することがあります。ここでは、よくある問題とその原因、対処法について詳しく紹介します。
葉が病気で変色する
シランの葉に茶色や黒い斑点が現れる場合、「葉枯病」や「斑点病」といった病気が原因のことがあります。これらは湿気が多い環境や、風通しの悪い場所で発生しやすく、放置すると株全体に広がることもあります。
対処法:
病気の葉は早めに取り除き、株間を広げて風通しを改善します。また、発病がひどい場合は、殺菌剤を使用して防除を行いましょう。
花が白くなる・色が抜ける
本来、紫色の美しい花を咲かせるシランですが、花が白っぽくなったり、元気がない場合があります。この現象は、日照不足や土壌の栄養バランスの乱れ、あるいは品種の変異によるものです。
対処法:
日当たりがよく、適度に湿った場所に植え替えると改善することがあります。追肥(リン酸分が多い肥料)も効果的です。
芽が出ない・春になっても動きがない
春を過ぎても芽が出ない場合、地下茎が腐っている、寒さでやられている、または株が老化していることが考えられます。
対処法:
地面を掘って地下茎の状態を確認しましょう。傷んでいるようであれば、その部分を取り除き、健康な株だけを残して育て直すのが安全です。
シランが勝手に自生して広がる
庭のあちこちからシランが芽を出しているという声もよく聞きます。これは、地下茎が土中で広がっているか、種子が飛んで発芽している可能性があります。
対処法:
不要な株は早めに抜き取り、必要に応じて根を断ち切るようにしましょう。それでも再発する場合は、土壌ごと掘り起こして処分するか、防草シートを敷いて物理的に遮断する方法もあります。
次の章では、こうしたトラブルを未然に防ぐための管理方法について詳しく解説していきます。放置しすぎると手に負えなくなることもあるため、適切な対応が重要です。
植えっぱなしで後悔?増えすぎるシランの管理方法
シランは地下茎でどんどん広がる性質があるため、放置しておくといつの間にか庭全体に広がり、他の植物に悪影響を与えることがあります。「気づいたら庭がシランだらけ…」というケースも珍しくありません。こうした事態を避けるためには、定期的な管理が欠かせません。
増えすぎを防ぐには「切り戻し」が効果的
花が終わった後に葉が茂り続けると、他の植物への影響や見た目の乱れの原因になります。そんなときは切り戻しが有効です。葉が黄ばんできたり、地上部が伸びすぎている場合は、株元10~15cmほどを残して地上部をカットしましょう。
この作業は、蒸れ防止や風通しの改善にもつながります。切り戻しの適期は花が終わった6〜7月頃が目安です。
広がった株は「株分け」や「間引き」で調整
株が混み合ってきたと感じたら、株分けや間引きが効果的です。シランは比較的移植にも強いので、掘り上げて健康な部分だけを残す方法が取れます。地中で絡み合った地下茎をスコップなどで断ち切りながら整理し、不要な部分は処分しましょう。
ポイント:
・3年に1回ほどの株分けがおすすめ
・作業の適期は秋(10月頃)か春先(3月頃)
移植を考えるなら場所選びも重要
シランを移植する場合、半日陰〜明るい日陰が理想です。日当たりが強すぎると葉焼けの原因になりますし、逆に暗すぎると花付きが悪くなることもあります。湿り気のある土壌を好むため、水はけのよい腐葉土を混ぜて植え付けましょう。
次の章では、こうした管理の手間が面倒に感じたとき、プロに処分や伐採を依頼する選択肢についてご紹介します。特に、地下茎が広範囲に広がった場合は、個人での対応が難しくなることもあります。