山菜として人気のあるタラの木ですが、見た目の可愛らしさや「春の味覚」という印象から、安易に庭に植えてしまうと後悔するケースが少なくありません。強いトゲや旺盛な成長力で、あっという間に他の植物を圧迫してしまうことも。
この記事では、タラの木を安易に庭に植えてはいけない理由と、安全に楽しむための育て方、さらに困ったときの対処法まで詳しく紹介します。
タラの木とは?その特徴と生態
タラの木(学名:Aralia elata)は、ウコギ科タラノキ属に属する落葉低木で、日本各地の山野に自生しています。春先に芽吹く新芽「タラの芽」は山菜として非常に人気が高く、天ぷらなどで食べられることで知られています。一方で、樹木としてのタラの木は非常に生命力が強く、根や株からどんどん新芽を出す特徴があります。
成長スピードが速く、放っておくと2〜3年で2メートル以上に達することも珍しくありません。さらに、幹や枝には鋭いトゲが多数あり、剪定や草取りの際にケガをする恐れもあります。このトゲは鳥獣から身を守るための防御機能ですが、家庭の庭では扱いにくい要因となります。
また、タラの木は地下茎でも増えるため、ひと株植えるだけでも周囲にどんどん新しい芽が出てきます。野山ではこれが自然の再生力として働きますが、庭では制御が難しく、意図せず敷地を越えて繁殖してしまうことも。こうした特性を理解しておくことが、植える前の大切なポイントです。
このように、タラの木は「食用」としては魅力的でも、「庭木」としては非常に強い生態を持つ植物です。次の見出しでは、そんなタラの木が「庭に植えてはいけない」と言われる理由を具体的に見ていきましょう。
なぜタラの木を庭に植えてはいけないのか
タラの木が「庭に植えてはいけない」と言われる最大の理由は、繁殖力の強さとトゲの危険性にあります。自然界ではこの特性が生存戦略として働きますが、住宅地や庭では問題を引き起こす要因となります。
まず、タラの木は地下茎でどんどん新芽を出し、気づかないうちに庭のあちこちから芽吹くことがあります。最初は1本でも、数年後には群生状態になってしまうケースも珍しくありません。根を完全に取り除くのは難しく、放置すると隣家の敷地やブロック塀の隙間にも侵入してしまうことがあります。
さらに、幹や枝に生える鋭いトゲは非常に硬く、剪定や草取りの際に手を傷つける危険があります。小さな子どもやペットがいる家庭では特に注意が必要です。見た目は細い若木でも、トゲは成長とともに太く固くなり、扱いづらくなります。
もう一つの問題は「枯れにくさ」です。伐採しても根から新しい芽が出るため、一度植えると完全に除去するのが大変です。除草剤を使っても根が深く生き残ることがあり、結果的に「伐採業者に頼まざるを得ない」という事態になることも少なくありません。
つまり、タラの木は自然の中では魅力的でも、家庭の庭では制御が難しい植物なのです。どうしても植えたい場合は、次に紹介するように「植え方」に十分な工夫が必要です。