庭木の剪定や伐採は、植物の健康維持や景観の美化に不可欠な作業ですが、切り口をそのままにしておくと病害虫の侵入などから大切な庭木が枯れてしまうことがあるため、切り口を保護する必要があります。
本記事では、剪定・伐採後の切り口を保護し、植物の回復を助ける癒合剤の重要性から選び方、おすすめの製品までを詳しく解説します。
切り口を保護する癒合剤はなぜ重要?
剪定や伐採によってできた切り口は、植物にとっては外部からの様々な脅威に対する無防備な状態、いわば傷口のようなものであり、その後の生育を維持・促進するために切り口の保護が不可欠な理由は主に以下の3つです。
- 切り口からの病原菌や害虫の侵入を防ぐ
- 切り口からの水分の余分な蒸発を防ぐ
- 切り口の治癒を促進する
一方、切り口をそのまま放置すると、菌類感染のリスクが高まったり、 害虫や穿孔性昆虫を誘引したりする可能性があり、植物が弱る原因にもなります。
特に菌に弱いとされる桜や果樹、水分不足に弱い樹種を剪定した後や乾燥しやすい時期、太い枝を切った後は癒合剤を使用した方が良いでしょう。
癒合剤を選ぶ際のポイント
様々な種類の癒合剤の中からどれを選べば良いか迷う方向けに、癒合剤を選ぶ際に参考になるポイントについて解説します。
期待する効果
癒合剤を選ぶ上で最も重要なのは、その目的と期待される効果です。
- 乾燥防止: 切り口からの水分蒸散を防ぎ、乾燥を防ぐ
- 病害虫予防: 殺菌剤や殺虫剤成分が含まれ、病原菌や害虫の侵入を防ぐ
- 癒合促進: カルスの形成促進成分を含む癒合剤は、傷口の治癒を早める
癒合剤の主成分は、アスファルト、ワックス、樹脂など様々で近年では、酢酸ビニル樹脂を主成分とする製品も多く見られますが、殺菌成分(チオファネートメチル)配合の有無は、製品を選ぶ際に注意してみましょう。
また食用となる果樹などに使用する場合は、成分を確認し、安全性の高い製品を選び、使用する際には、手袋を着用するなどして作業者自身の安全にも配慮しましょう。
使いやすい形状・色
癒合剤には、ペースト状、スプレー状、ワックス状などの形状があり、それぞれの形状に応じて使いやすさが異なるので、どのような部分に塗るのかを考えて選びましょう。
形状 | 特徴 | 切り口の形状 |
ペーストタイプ | 粘度が高くしっかりと切り口を覆える。 | 太い枝、広範囲の切り口 |
スプレータイプ | 広範囲に均一に塗布できる | 多数の切り口、高所 |
ワックスタイプ | 融点が高く、雨水などによる流出が少ない | 接ぎ木など |
癒合剤には茶褐色、緑色、オレンジ色、透明色など様々な色があり、観賞用の樹木など見た目を重視する場合は、樹皮の色に近い色を選ぶと目立ちにくく、逆に塗布した箇所を分かりやすくするため、あえて目立つ色を選ぶ場合もあります。
価格
使用頻度や塗布面積などを考慮して、適切な容量の製品をホームセンターや園芸店、オンラインショップなどで購入しましょう。
これらの要素を総合的に考慮し、ご自身の庭木や樹木の種類、剪定・伐採の規模、そして重視するポイント(殺菌効果、見た目、使いやすさなど)に合わせて最適な癒合剤を選びましょう。
おすすめ癒合剤3選
ここでは、上記の選び方のポイントを踏まえ、一般の園芸愛好家からプロの庭師まで幅広く支持されているおすすめの癒合剤を3つご紹介します。
1. トップジンMペースト

(2025/07/19 09:19:43時点 楽天市場調べ-詳細)
≪商品仕様≫
・形状:ペースト状・橙黄色
・価格:100gあたり1200円程度
・特徴:殺菌成分含有
チオファネートメチルを有効成分とする殺菌作用のあるペースト状癒合剤で、幅広い病害に効果があり、カルスの形成も促進します。伸びが良く塗りやすいという声が多く、 使用者の満足度も高い製品ですが、橙黄色をしているため、樹皮の色によっては目立つことがあります。
口コミを見ると殺菌効果と塗りやすさが好評のようですね。
2. カルスメイト

(2025/07/19 09:19:43時点 楽天市場調べ-詳細)
≪商品仕様≫
・形状:粘り気の強いペースト状・茶褐色
・価格:150g1200円程度
・特徴:自然な色合いで目立ちにくい、乾燥が早い
酢酸ビニル樹脂を主成分とするボンドに似たペースト状癒合剤で、カルスの形成を促進する効果が高いことに加えて、木肌によく馴染む自然な色合いなので見た目重視の方におすすめですが、殺菌効果はありません。
粘度が高く、穴にも使いやすいのと乾きやすさが好評のようです。
3. 新キヨナール

(2025/07/19 09:19:43時点 楽天市場調べ-詳細)
≪商品仕様≫
・形状:ペースト状・灰褐色
・価格:100g1500円程度
・特徴:自然な色合いで目立ちにくい、ひび割れしにくい
塗布後時間が経過しても弾力があるので乾燥してもひび割れしにくく、さらにアルコール成分を配合しており消毒効果も期待できますが、小容量のチューブタイプで販売されているので、多くの木に塗ったり広い断面に塗るような場面には不向きかもしれません。
接ぎ木にも使えて、塗りやすさと色合いが好評のようです。
癒合剤の正しい塗布方法と注意点
癒合剤の効果を最大限に引き出すためには、正しい使い方を守ることが重要です。
使用方法
- 剪定・伐採後の切り口に土やゴミ、樹液などが付着している場合はきれいに拭き取る。
- 切り口が濡れていると癒合剤が密着しにくいため、十分に乾燥させる。
- 癒合剤を切り口全体に薄く、均一に塗布する
ペースト状の場合は筆やヘラなどを使用し、スプレータイプの場合は切り口から適度な距離を保って噴射すると良い。 - 塗布後は、癒合剤が完全に乾くまで触らないようにする
- 剪定・伐採後はできるだけ早く塗布する
- 雨の日や雨上がりの直後など、切り口が濡れている状態での塗布は避ける
- 使用後は、容器を密閉し、直射日光を避けた涼しい場所に保管
- 広範囲にひび割れや剥がれが生じた場合は、再塗布する
樹種や切り口の大きさに合わせて適切な癒合剤を選ぶようにしましょう。
癒合剤のまとめ
本記事では、剪定・伐採後の切り口を保護する癒合剤の重要性、選び方、そしておすすめの製品を3つご紹介しました。
- 癒合剤は剪定・伐採のダメージを回復するのに役立ちます
- 癒合剤を選ぶ際は、切り口の大きさ・数・樹種などを考慮しましょう
- 乾燥した清潔な切り口にできるだけ早く均一に塗布しましょう
もし、剪定や癒合剤の選び方、使い方に不安がある場合は、専門の業者に相談することも検討してみてください。